中村真衣(シドニー五輪背泳ぎ銀メダリスト)<後編>「銀メダル獲得の舞台裏」

二宮: 中村さんと言えば、やはり2000年シドニー五輪での銀メダルです。私も現地で取材しましたが、金メダルまで、ほんのあとわずかでしたよね。中村さんを破って金メダルを獲得したディアナ・モカヌ(ルーマニア)は大会前まで全くの無名選手でしたから、本当に驚きました。
中村: 予選は私が全体のトップだったのですが、準決勝でモカヌがトップで、私が2位だったんです。正直、ノーマークの選手だったので、「どんな選手なんだろう」という感じで見ていたのですが、モカヌはレース前の招集所でも全く表情を変えなかったんです。ちょっと、不気味さを感じていましたね。

二宮: 泳いでいる時、モカヌが追い上げてきているのはわかっていたんですか?
中村: はい。私が5コースで、彼女が4コースでしたから、後半にものすごい勢いで追い上げてきているのは視界には入っていました。でも、見ないように……と言っても、見えてしまうんですけど、気にしないようにしていましたね。とにかく焦らずに自分の泳ぎをしようということだけを考えながら泳いでいたんです。

二宮: 0.3秒差と、2人の差は本当にわずかでしたが、タッチした瞬間というのは、自分が勝ったか負けたか、わかるものですか?
中村: いえ、わかりませんでした。タッチして、すぐに掲示板を見たんです。まず先に自分のタイムを見たら、自己ベストを出していたんですよ。一瞬、「よし!」と思って、順位を見たら2番だったので、「えっ!?」という感じでした。

二宮: 0.3秒差ですもんね。相当、悔しかったのでは?
中村: そうですね。でも、0.3秒って、意外に30センチ以上も差があるんですよ。ですから、完璧な負けでしたね。