魔裟斗を担ぎ出して再出発の新生「K-1」、親会社EMCOMの資金難で早くも前途に暗雲
元K-1MAX世界王者の魔裟斗〔PHOTO〕gettyimages

 かつて大晦日の試合で、NHKの「紅白歌合戦」をしのぐほどの視聴率を稼ぐこともあった格闘技「K-1」の新体制が整った。

 今年1月、「K-1」の商標権を獲得、興行の権利を手にしたのはEMCOMホールディングス(ジャスダック上場)傘下のK-1グローバル・ホールディングス(本社・香港、代表・金健一氏)である。

 金氏は、5月16日、元K-1MAX世界王者の魔裟斗をエグゼクティブプロデューサー(EP)に招くと発表した。

 会見で魔裟斗は、「選手発掘や(戦う選手を選ぶ)マッチメイクを中心にEPとして働きたい」と述べ、イベント全体を仕切るプロデューサーについては、「僕がやるとめちゃくちゃになるので、今のところはやるつもりはない」と、答えた。

 実際、興行の世界で大変なのはプロデューサーである。興行には、多かれ少なかれ反社会的勢力が絡む。それを捌きつつ、監視当局のチェックも済ませて興行を打つのは容易ではない。

業界関係者の見通しは暗い

 韓国のゲーム業界出身で格闘技の世界は素人の金氏は、K-1創始者の正道会館・石井和義館長か、「K-1」を主催してきたFEG(ファイティング&エンターテインメントグループ)の谷川貞治代表と組み、新生K-1に踏み出すのではないかと目されていた。それだけ人脈がものをいう世界だからだ。

 だが、金氏は「古い殻」は脱ぎ捨てた。

 賞金総額最大の格闘技大会を世界各国で開催、年末のトーナメント決戦に向けて盛り上げていく、という石井館長の提案にも、テレビ局とタイアップした従来型のK-1復活という谷川代表のアドバイスに耳を貸すこともなく、独自路線を選んだ。

 その方向性がハッキリしたのが、オランダのプロモーターで格闘技大会「It's showtime」を主催するサイモン・ルッツ氏と組んだ旗揚げ興行だった。

 場所はスペインのマドリッド。5月27日、「K-1 RISING2012」と題して、世界各国の16選手を招いて行う。日本の選手は2名のみ。年内にロサンゼルス、マイアミ、台北などでの大会を予定しているものの、日本での興行はない。K-1グローバルの本社が香港にあることと合わせ、「日本脱出」と思われた。

 だが、「K-1」の名が最も通っているのは日本であり、FEGが「K-1甲子園」という高校生の為の大会を開いていたこともあって裾野は広い。そこで金氏は、2009年に引退したものの今も根強い人気を誇る魔裟斗をEPとし、日本の足場も残した。

 では、新生K-1の展望はどうか。残念ながら業界関係者の見通しは暗い。

「石井館長や谷川氏を切ったのはいい。でも、素人が突然、興行を打てるほど甘い世界ではない。それに、K-1には谷川時代のファイトマネーの未払い問題もあって、選手が疑心暗鬼で出たがらない。そこでサイモン・ルッツ氏と組んだんだろうが、彼はメディア受けが悪い人だ。それに大事な旗揚げ興行が、K-1の名が売れていないスペインというのもワケが分からない。そんな悪評に驚いたように、今度は魔裟斗をEPにした。泥縄の印象が強い」(格闘技団体幹部)

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