サッカー
二宮寿朗「ブンデスが日本人プレーヤーを愛する理由」

 またしても行き先はブンデスリーガである。

 U-23日本代表のエース格である清武弘嗣(セレッソ大阪)が1FCニュルンベルクに完全移籍することが発表された。成長著しい同代表不動のサイドバック・酒井宏樹(柏レイソル)もハノーファー96への移籍が決定的だという。

大きいオクデラの影響

 今季終了までブンデスの1、2部に在籍した日本人選手は9人(長谷部誠、岡崎慎司、細貝萌、内田篤人、香川真司、大津祐樹、酒井高徳、宇佐美貴史、乾貴士)。来季は香川の英プレミア移籍が濃厚になっており、他のプレーヤーも移籍する可能性はあるものの、清武、酒井宏が加わって「ドイツ組」が最大勢力を維持することは間違いない。

 しかし、何故ここまで“ブンデス移籍”が多いのか。

 ひとつはドルトムントのリーグ2連覇に貢献した香川の影響によるところが大きい。かつてドイツサッカーはテクニックよりも体の強さで勝負する印象が強かったが。しかし近年はいわゆる“10番タイプ”を中央に置くクラブが増えるようになり、ヴェルダー・ブレーメンで活躍したメスト・エジル(現レアル・マドリー)の登場など、テクニックのある選手が台頭してきた経緯がある。

 スピーディーかつスペクタクルなスタイルを志向する風潮に乗ったのがドルトムントであり、その中心が香川であった。2010年南アフリカW杯登録メンバーでもなかった香川の活躍は、ブンデスの各クラブにとって刺激的だったはずである。
若くて、テクニックに長けた選手が日本にはたくさんいると――。

 香川の活躍が“ドイツ行き”に拍車をかけるきっかけとなり、かつ移籍金が高額でないこともあって宇佐美や酒井高、大津らA代表で実績のない選手たちにまで手が伸びるようになってきた。

 日本人プレーヤーが好まれる要因は「若い」「テクニックがある」ばかりではない。忘れてならないのが「献身性」である。

 これはブンデス挑戦の“パイオニア”である奥寺康彦(現横浜FC取締役会長)がドイツのサッカー関係者やファンに植え付けたイメージなのかもしれない。奥寺は1FCケルン、ブレーメンなど9年にもわたってドイツで活躍し、チームプレーを重視する姿勢は高く評価された。「ドイツではGK以外、あらゆるポジションをやらされた。そういう使われ方は僕としてはうれしかった」と後に奥寺から聞いたことがある。

 彼はケルンでリーグ制覇を達成し、欧州CLの前身である欧州チャンピオンズカップ(1979年)でベスト4入りを果たしている。ドイツにおいて“日本人プレーヤー=オクデラ”のイメージは強い。ハンブルガーSVなどで活躍した高原直泰(現清水エスパルス)もまた献身的なストライカーであったし、ヴォルフスブルクで献身性を発揮してリーグ優勝に貢献した長谷部の存在もその後の日本人移籍の流れをつくったと言っていい。