磯田道史 第4回 「慶応の図書館にある歴史書を全部読もうと意気込むあまり気を失い、救急車で運ばれたことも」

撮影:立木義浩

第3回はこちらをご覧ください。

シマジ 若いとき、とくに十代で読んだ本の影響って大きいと思うね。

磯田 そうですね。わたしも若いときに図書館で読んだギボンの『ローマ帝国衰亡史』などは、物書きになってからどれだけ役にたったかしれません。受験のときは役に立たなくて苦労しましたけどね。

シマジ 磯田教授の高校時代の成績はどうでしたか?

磯田 上の下ってところでしたかね。

シマジ すでに大人の名著を読む愉しさを知ってしまった高校生はまさに"知る悲しみ"を知ってしまったようなものでしょう。でも念願の慶應大学に入って速水教授に会えてよかったですね。

磯田 速水教授は江戸時代の平均寿命のグラフを作ったりしてユニークで尖った研究をする教授でした。先生に会ったとき「世界史レベルで江戸時代を研究しているのは先生だけです」と言ったら、すごく喜んでくださいました。

 慶應大学の図書館はすばらしかった。学生時代、私はあんまり物を食べていなかったせいか、図書館で本に熱中するあまり気を失い、救急車で運ばれたこともありました。慶應の図書館にある歴史書は全部読もうと意気込んでいましたから。