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 うつ病のティーンエージャーにとって、コンピューターゲームは、人と人とのリアルな対面でのカウンセリングと同様の治療効果を上げるという報告が、ニュージーランドのオークランド大学Sally Merry博士らの研究によって、2012年4月19日版のBMJに報告されました。

 研究は、ニュージーランドの24ヵ所のプライマリヘルスケア施設(学校カウンセリング・一般診療・青少年対象のクリニック)で実施されました。被験者は187人の12歳から19歳のうつ的傾向のある青少年で、168人が3ヵ月のフォローアップを終了しました。

 コンピューターゲームによる治療を受けるグループは、SPARX (Smart, Positive, Active, Realistic, X-factor thoughts)という3Dアニメーションのゲームを使用して、治療を行いました。このゲームには7段階のレベルがあり、次のように構成されています。

 1レベル:洞穴地帯(希望を見つける) → 2レベル:氷地帯(行動的になる) → 3レベル:火山地帯(激しい感情と向き合う) → 4レベル:山岳地帯(問題を解決する) → 5レベル:低湿地帯(認知の再構築、役に立たない思考に気づく) → 6レベル:橋梁地帯(否定的な思考から抜け出す) → 7レベル:渓谷地帯(ストレスの対処法、助けの求め方を学ぶ)

 という構成で、患者自身が好きなアバターを選んで、ゲームを楽しみながら、うつ病を克服ために役立つ思考法を身につけられる形式で展開されます。

 しばしば若い世代のうつ病患者さんたちは、従来の対人カウンセリングによる治療に対して、気が進まない様子を見せることが多く、コンピューターによる治療であれば、「デジタル・ネイティブ」と呼ばれる若者にも受け入れられるのではないかという発想で制作されました。

 その結果、コンピューターゲームは、うつ的傾向を10.32ポイント低下させるのに対し、通常の対人カウンセリングは7.59ポイントの低下にとどまりました。またうつ病の寛解率についても、コンピューターゲームの方が43.7%、対人カウンセリングが26.3%となり、ゲームの方が寛解率が高いことが明らかになりました。

医療ジャーナリスト 宇山恵子
BMJ Online, April 19,2012


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