再選挙が決まったギリシャの「捨て身作戦」で揺さぶられる欧州
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 ギリシャの再選挙が決まった。現地メディアの世論調査によれば、緊縮財政に反対する急進左派連合の支持率が高く、再選挙で大きく議席を増やす見通しという。ギリシャは結局、ユーロ離脱に動くのだろうか。

ユーロ離脱論のシナリオ

 結論を先に言うと「そうはならない」とみる。

 なぜかと言えば、支援する欧州連合(EU)側も急進左派連合も、なによりギリシャ国民もギリシャのユーロ離脱を望んでいないからだ。経済的にはユーロ離脱が合理的でかつ根本的な解決だったとしても、政治的に離脱を促すメカニズムが働かない。どこからも離脱へのインセンティブが起動しないのである。

 世論調査が示すように、急進左派連合が再選挙で議席を伸ばし、政権を握ったとしよう。単独政権か連立かはこの際、措く。連立であっても事実上、政権の主導権を握ると仮定する。

 彼らは緊縮策に反対しているが、ユーロ離脱を目指しているわけではない。すると政権の座に就いてから、まずEUや国際通貨基金(IMF)、とりわけ独仏両国と金融支援の条件になっている緊縮策の見直し協議を求めるだろう。

 報道によれば、2月に支援側と合意した緊縮策は最低賃金の22%引き下げや公務員の削減(2012年中に1万5000人、15年までに15万人)、電力など公社職員の年金15%削減、給与7%減額、国営企業の終身雇用廃止、公共事業や防衛費の削減などが柱だった。

 これらに反発して、ギリシャ国内では連日、激しいデモが繰り広げられたのは記憶に新しい。

 新政権が緊縮策の見直しを要求すると、支援側はどう反応するか。欧州から距離のあるIMFは当然、見直しに反対するとしても、欧州側がゼロ回答で押し通すだろうか。

 支援側がゼロ回答で動かなければ、新政権には一方的に緊縮策の少なくとも一部を実行しない手段がある。それが「許せない」として、支援側が金融支援を実行しなければ、ギリシャは資金繰りがつかず、早ければ6月にも秩序なき債務不履行(デフォルト)に陥る可能性が高い。

 問題はここからだ。ギリシャがデフォルトすると、欧州中央銀行(ECB)や民間銀行がもつギリシャ向け債権が焦げ付いて、結果として欧州のみならず世界経済が混乱する。どの程度の混乱になるかは、ギリシャ向け債権の保有状況や債務保証の実態による。それほど混乱しないという楽観的見方もある。逆に「スペインやイタリアもだめなのではないか」と連想ゲームが働いて、ひどい混乱になるという悲観論もある。

 結果として、もはやユーロ建てで資金調達できなくなったギリシャは結局、ユーロを捨てて旧通貨ドラクマに復帰せざるをえないのではないか。それがユーロ離脱論の基本的なシナリオだ。

 以上のシナリオは支援側も当然、予想している。金融市場も理解しているから、少しずつ先取りしながら反応する。ギリシャ国内では、はやくもドイツなどに資本逃避が起きている、と伝えられる。

 ここで鍵を握るのはギリシャ側なのか、それとも支援側なのか。それは支援側だ。緊縮策を見直すのは急進左派連合であったとしても、それを受けて支援を凍結するかどうかを決めるのは支援側、という点が最大のポイントである。

 いまやだれもが理解している「支援を凍結すればギリシャはユーロ離脱を迫られる」というシナリオを前提にすると、支援凍結とは、すなわち「欧州によるギリシャ切り捨て」と同じ意味になる。ここが問題の本質だ。

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