川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」

イスラムに異国情緒しか感じていないあなた! 「サラフィスト」と呼ばれる人たちを知っていますか?

2012年05月18日(金) 川口マーン惠美
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4月14日、ベルリンのポツダム広場で無料のコーランを配布するイスラム教組織の男〔PHOTO〕gettyimages

 「サラフィスト」という言葉を聞いたのは、つい最近のことだ。ところが、その存在が、今、あっという間に大きな社会問題に膨れ上がりつつある。「サラフィスト」とは、イスラム原理派の中でも、ウルトラ過激派、「サラフィー主義者」のことで、彼らは、イスラム教の預言者、ムハンマドの時代、つまり、7世紀の初期イスラム世界に回帰することを目標としている。

 別に、サラフィストが何を信じて、どこに回帰しようが、それは自由だが、問題は、彼らが全世界を自分たちの原理で制覇しようと目論んでいることだ。

 サラフィストは、コーランを唯一の法典とみなしている。その他のいかなる価値観も、憲法も、宗教も認めない。つまり、早い話が、自分たちだけが正しく、他はすべて悪。そして、これが1番の問題なのだが、自分たちの主張を通すためには、暴力も辞さない。

 2006年にはアルカイダと統合した。連邦憲法擁護庁の長官によると、「サラフィストの全員がテロリストではないが、テロリストの全員がサラフィストであることは確か」なのだそうだ。

 イスラム過激派の脅威にさらされていないのは、世界中で日本だけではないか。だから日本人は、イスラムに対しては、異国情緒の他にあまり何も感じない。それに比して、ヨーロッパもアフリカも東南アジアも、そして、多民族を抱える中国もロシアも、イスラムの過激派勢力には常に悩まされてきたし、それどころか、ここ数年、その脅威は膨れ上がるばかりだ。

もはや信教の自由の範疇を逸脱している

 イスラム過激派の勢力は、私たちが思いもしないほどの速さで伸長している。彼らは武力闘争と並行して、別働隊を使って積極的な宣伝活動も行っている。

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