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ITトレンド・セレクト
2012年05月17日(木) 小林 雅一

AIの復権~Googleの自動走行車とAppleの「Siri」が意味するもの

 Googleが数年来、開発を進めてきた自動走行車(Self-Driving Car)が今月(5月)、米ネバダ州で試験運転のライセンスを取得した。これに先立ち、同社は今年3月、そのプロモーション・ビデオをYouTube上に公開している。

 そこには視覚障害のハンディを負った男性が、自動走行車でファースト・フード店に行く様子などが収録されている。もちろん、これは同社の宣伝用ビデオだが、その点を差し引いても「ハンディキャップを背負った人たちを助ける」という自動走行車の意義は観る側に伝わってくる。

 しかし法制度など社会システムの整備はこれからだ。同じくネバダ州では既に昨年6月、自動走行車が合法化されているが、それでも「事故を起こした時、誰が責任を取るのか」「自動車保険は適用できるのか」など、現実的な問題が山積している。とは言え、純粋に技術的な側面だけを見た場合、その実用化は十分可能なところまで迫っていることを冒頭のビデオは示している。

私たちの身近に忍び寄るAI

 Googleの自動走行車は、過去に持て囃されながら、その後挫折し、長らく表舞台から姿を消していた「AI(人工知能)」が、ここに来て再びIT開発のキーワードとして浮上してきたことを示している。

 「AI(Artificial Intelligence)」とは文字通り、人間の知的活動をコンピュータのような機械と、そこに搭載されたソフトウエアで代替する技術を指す。もちろん一口に「人間の知的活動」と言っても、そこには多様な側面がある。その中でAIが対象とするのは、「知識表現」「プランニング」「学習」「自然言語処理」「動作と操作」「(音声、顔、物体、パターンなどの)認識」「社会的知性」「創造性」などである。

 たとえば前述の自動走行車の場合には、自動車に搭載されたソフトウエアが道路や他の車や歩行者や信号など、自らを取り巻く諸環境を「認識」して、それに基づいて車体を「操作」している。まさにAIの典型である。

 他にも最近、AIが華々しい成果を上げたケースとして、AppleのiPhone 4Sに搭載された音声アシスタント機能の「Siri」が挙がるだろう。実際に使ってみれば一目瞭然だが、要するにiPhone 4Sのような情報端末に「あれしろ、これしろ」と命令すると、まるでロボットか召使のように言うことを聞いて、仕事をしてくれるソフトが「Siri」である。これを実現したのは「音声認識」や「自然言語処理」だが、これらはAIの本流を為す技術である。

 他にも、前回のコラムで紹介した新型検索エンジンの「Wolfram Alpha」やGoogleが開発中の「セマンティック検索」、そして米国の人気クイズ番組に出演し、人間のチャンピオンに勝ったIBMのクイズ解答マシン「Watson」、それより若干昔に遡ると、同じくIBMが開発し、チェスの世界チャンピオンに勝った「Deep Blue」など、昨今、AI技術を成功裏に実装したケースは枚挙に暇がない。

 さらに私たちの日々のデスク・ワークや娯楽の中にも、既にAIが忍び寄っている。

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