財政危機をいくら煽っても市場で買い進まれる日本国債。財務省悲願の消費増税にマーケットは味方せず
日本政府の財政状態は満身創痍。消費税率の引き上げは財務省の悲願なのだが・・・。

 財務省がこのほど今年3月末の「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」を発表した。国債や借入金、政府短期証券などのいわゆる「国の借金」の残高は合計で959兆9,503億円。1年前に比べて35兆5,907億円も増加し、過去最多を更新した。国民1人当たり752万円という多額の借金だ。

 一方で、国の財政状況は大幅な税収不足が続いたまま。2009年度以降、税収額よりも新規国債発行額が多い状態が続いている。こちらも第二次世界大戦敗戦後の混乱期以来の状態で、まさに異常事態であることは間違いない。このままでいくと、「国の借金」は来年3月末までには1,000兆円の大台に乗せると、新聞各紙はこぞって危機感を煽る。

 さらに、債務残高の対国内総生産(GDP)比は、2011年で213%に達する。欧州債務危機で火がついたイタリアは129%だ。いつイタリアのように国債金利が上昇し、国債発行に支障をきたしかねない、という危惧も広がっている。日本政府の財政状態はいわば満身創痍の状況なのだ。

 だからこそ増税が必要なのだ、というのが財務省の主張だ。野田佳彦内閣は消費税増税を盛り込んだ税・社会保障の一体改革に関する法案をすでに国会に提出。いよいよ本格的な審議が始まろうとしている。このままでは年金など社会保障が行き詰まるので消費増税を、という論理展開が「税・社会保障一体改革」のキモだが、年金制度の将来像などが描ききれておらず、国民の理解がなかなか得られていないのが実情だ。

 そうなると、「借金まみれを何とかしないと国が潰れる」と危機感を煽るのが手っ取り早い。ところが、財務省が発表する危機的な財政データに、日本の国債市場が反応しないのだ。

 普通ならば財政がボロボロな政府にカネを出して国債を買う投資家などおらず、国債価格が下落し、金利が上昇することになる。ギリシャやイタリアで起きたことが日本で起きてもおかしくないのだ。ところが、なぜか日本の国債市場では、まったく逆の反応が起きている。