生産性はボーイングのお墨付きモロッコは航空機産業で飛躍する

ウォール・ストリート・ジャーナル(USA)より
MOROCCO

2012年06月06日(水)

 これまで、製造業分野が伸び悩んでいたモロッコ。だが近年、政府が航空機産業の振興を図り、多くの雇用が生まれている。

 モロッコで暮らすナシマ・ブクリス(22)は、いままで一度も飛行機に乗ったことがない。そんな彼女が近い将来、世界最先端の技術を駆使したジェット旅客機の部品を扱う工場で働くという。

 長年この国の製造業は、未熟練労働者を雇う繊維・衣類業界がわずかに注目されるくらいだった。経済も好調とはいえず、若者の失業率と高学歴者の失業率はともに30%前後が続いていた。

 そんななか、モロッコ政府が力を入れるようになったのが航空機産業の育成だ。航空機の製造という最先端の分野で結果を出すことで、他の製造業の企業も自国に誘致し、失業率を改善していくのが狙いだ。

 この国に、米国の航空機大手ボーイング社と、フランスのサフラングループ(航空と通信のコングロマリット)の最新式の工場が建設されたのは2001年のこと。当初、ボーイングの幹部は、この工場の生産能率は業界標準の3割程度だろうと見積もっていたが、労働者のなかには高学歴者も多く、2年も経たないうちに、生産能率は業界標準の約7割となった。

ウォール・ストリート・ジャーナル(USA)より

 現在、この工場から出荷される製品の品質は、米国やフランスの工場に劣らない水準に達しており、GEやエアバスにも出荷するようになっている。こうした「結果」を受け、米国の航空機・機械大手のユナイテッド・テクノロジーズとカナダのボンバルディアも昨年、モロッコ国内の新工場に2億ドル(約160億円)強を投資する計画を発表した。

 さらにモロッコ政府側も人材を育成するため、昨年5月、モロッコ航空研究所という専門学校を開設。冒頭のブクリスは、いまそこで職業訓練を受けている学生だ。正規に働き出したら、モロッコの平均月収である320ドルを15%ほど上回る給料をもらえる。

 現在、モロッコの航空機産業に携わる人の数は約1万人。従来の産業では就職口を見つけられなかった高学歴の女性たちがその8割を占めている。

 

COURRiER Japon

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