雑誌
日本の軸は移った なぜ小沢でなく、橋下なのか--この時代の読み方
好きでも嫌いでも 「次の総理」橋下徹
世の中はこうやって変わっていく

 小沢一郎から橋下徹へ。時代は変わろうとしている。

 かつて、日本社会を変えると期待された「破壊者」は小沢氏だった。しかし、度重なる党内抗争と自身の金銭スキャンダルの裁判を続けるうち、メッキははがれ、小沢神話は崩壊した。

 古希にさしかかった老残の小沢氏に、いまさら期待を寄せる人々はそれほど多くない。だが、彼がこの20年で結局できなかった「日本改革」という大事業を、もしかしたらやってくれるかもしれない・・・・・・そう期待を集め、支持を急拡大させているのが、橋下徹・大阪市長だ。

 政党は変遷すれども、この20年の政界は常に「小沢か、非小沢か」という構図で動いてきた。しかし、それがもうすぐ決定的に変わる。「橋下か、非橋下か」。政界関係者はもちろん、産業界も官僚も国民も、良くも悪くも、橋下氏を中心に回る時代に備えなければならない。

「日本には、まだまだ潜在的な力、ポテンシャルがあると思う。しかし今の日本のシステムが、潜在的な力を引き出せないシステムになっている。

 明治維新以来、日本がここまで近代国家として成長してきたが、いろんな社会システムが古いものになっている。政治もマヒ状態。制度を作り直さないといけない」

 橋下徹大阪市長を中心に吹き荒れている風は、いよいよ強さを増している。

 消費税の増税に原発の再稼働と、民主党・野田政権は迷走を続け、支持率も急速に低下中(発足後最低の26・4%=共同通信)。橋下氏はこの二つの問題で民主党政権を公然と批判し、政府とは逆に支持を急拡大している。

 就任以来、国民との対話を放棄し、定期的な会見を拒否している野田首相に対し、橋下氏は頻繁に記者会見を行い、言い足りない部分はツイッターで呟き続ける。ほぼ毎日、自分の言葉で市政から国政までの見解をマシンガンのように繰り出す同氏の発信力は、かつてどんな政治家も持ち得なかったものだ。

 橋下氏の発言には「暴言」の類も多い。しかしその一方で、しがらみに囚われた従来の政治家が言えないことを、ズバズバと言い切る姿に喝采を送る人々がいる。

「ハシモトで時代が変わっていく」

 彼が好きでも嫌いでも、否応なくそんな変化の兆しを誰もが感じ始めている。今回は、メディアで詳細が報じられることのない、橋下氏の発言から、その兆しを読み取ってみたい。いったい何が、どう変わろうとしているのか。

霞が関に痛い目を

 たとえば、原発問題だ。

「(大飯原発の)こんな再稼働、絶対に許しちゃいけない。でも、僕ら権限ないですから、もしストップかけるんだったら、そら国民の皆さんが民主党政権を倒すしかない。こんな統治なんか、絶対に許しちゃいけないです。国民はね」

「次の選挙のときに、民主党政権がこれでやるって言うんであれば、民主党政権には替わってもらう。替わってもらわなきゃいけない。こんなの民主党政権に統治を任せていられません」

 橋下氏は、原発の再稼働自体を完全に否定しているわけではない。だが、「電力が足りないなら仕方ないじゃない」という物分かりの良い世論に付けこみ、安全確認の手続きを放棄して再稼働に驀進する野田政権に、敢然と異を唱える。

「政局よりも何よりもね、国会議員、もうちょっと目を覚ましてくれって言うんですよ。こんな手続きで国民が納得するのか。こんな手続きで国民を納得させようとするのか。われわれはね、そんなレベルじゃないんです、国民も国家も」

「まず、(原子力安全委員長ら)専門家の意見を表に出して聞かせてくださいよ。なんで、表に出せないかですよね。それは、出したらみんなにさんざん突っ込みを入れられるから。だから出さずに封印して進めている」

 さらに、原発再稼働が〝ブラックボックス〟化した議論の中で進む原因は、政権に加え、霞が関の官僚機構に問題があると言い放つ。

「暫定的な安全基準なんて、あんなもので国民が騙されると思っているのか」

「堂々と『安全性は不確かだが、電力が足りないからやる』と言ってくれたほうが、説明の仕方いかんではそれに乗っかることもあり得る。だが、国民をバカにしたような進め方をされることには断固反対。こういうやり方をしたらえらいことになると、霞が関は痛い目にあわせなければならない」

 原発の再稼働も消費税の増税も、背後にいるのは経産省や財務省。橋下氏ならずとも、「バカにするな」と誰もが考えている。だが、民主党も従来の首長も、正面からこの「システム」に、ケンカを売ろうとしなかった。橋下氏は、そこに楔を打ち込み「変化」をもたらそうとしている。

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