ゴルフ
勝敗を左右した声援と野次
柔和なクーチャーも昔は感情的だった。人間は変われる。野次も声援に変えられる?(写真/中島望)

文/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

2つのコール

 "第5のメジャー"と呼ばれるプレーヤーズ選手権はマット・クーチャーの優勝で幕を閉じた。

 首位のケビン・ナから1打差で最終ラウンドをスタートしたクーチャーは、9番のバーディーで首位に立ち、後半は終始、安全着実なプレーぶり。2位に2打差を付け、通算4勝目を挙げた。

 最終日のソーグラスには、2種類のコールが響き渡った。1つは、クーチャーを応援する「ク~~」コール。そして、もう1つは、ルーク・ドナルドを応援する「ル~~」コール。

 最終日に「66」をマークして6位になったドナルドの猛追は人々を魅了し、「ル~~」を連発させていたが、最後の最後に観衆の心を掴んだのは、自分のスタイルを貫き、見事に勝利をつかんだチャンピオン、クーチャーの笑顔だった。

「プレー中の忍耐の大切さは父から学んだ。ゴルフを楽しむことは母から教えられた」

 折りしも、最終日は母の日だった。優勝会見でクーチャーが触れた「母」の言葉を聞いたとき、いつだったか彼が明かしてくれた秘話を思い出した。

 現在のクーチャーからは想像できないかもしれないが、ハイスクール時代の彼は、きわめて感情の起伏が激しいエモーショナル・タイプのゴルファーだったそうだ。

「あるとき、母が僕のクラブを全部どこかに隠してしまった。どこにやったのかと尋ねたら、母は『クラブを叩き付けたり投げたりする人間はゴルフをする資格がないから、クラブは要らないでしょう』って言って・・・。しばらくの間、僕はゴルフをさせてもらえなかったんだ」

 人間としても、ゴルファーとしても、厳しく躾けられたクーチャー。以後、自分を磨き、ゴルフの腕も磨き、すっかり別人のように成長したクーチャー。だからこそ、彼の笑顔は人々の心を捉えるのだろう。

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