国有化の裏で東電が構築を目論む、NTTが27年前に放棄した「私的独占網」とは?
東電は今後5年以内にスマートメーター網を集中配備するという〔PHOTO〕gettyimages

 電気の使用状況の「見える化」や省エネの切り札と期待される「スマートメーター」を政府が普及支援するのに便乗して、27年前にNTTが放棄したのと同種の私的独占網を、これから膨大な費用をかけて構築し、そのコストを国民に転嫁する---。

 そんな無謀な計画を、原発事故の賠償ができないと政府に泣き付いて、国有化という支援をうけることになったばかりの東京電力が練り上げている。

 枝野幸男経済産業大臣、こんな企業カルチャーを持つ会社を存続させて本当によいとお考えでしょうか。

インターネットを生んだ端末の接続自由化

 スマートメーターというのは、通信機能を持つ電力計のこと。

 電力会社の検針係が毎月、家庭や事業所を回って電気の使用量を確認しなくても、自動的に利用状況が送信されて人員削減が可能になるうえ、ピーク時間帯の使用量に応じて機動的に適用料金を変えることも容易になることから、スマートグリッド(次世代送電網)における省電力や新産業創出のコアとして期待を集めているものだ。

 そのほか、家庭内の電気の使用状況を「見える化」したうえで、外出先から無線通信網を介して家電製品のコントロールができるようにしたり、要介護のペースメーカー使用患者の状況を自動的に病院に送信したり、コミュニティ内部やコミュニティ間での電力の融通や効率利用の道を開く機能なども追加されていくとみられている。

 スマートメーターへの期待は高く、政府の国家戦略会議の「エネルギー・環境会議」が昨年11月にまとめた「エネルギー需給安定行動計画」で、「需要家によるピークカットを促す料金契約を可能とするインフラである」として、「今後5年間で、総需要の8割をカバーすることを目標に電力会社が集中整備を行うよう、政府として制度的な枠組みを構築する」方針を打ち出した。

 この方針を受けて、経済産業省は早速、昨年度の第3次補正で建物や家屋へのスマートメーターを使った電力管理ステムの普及を後押しするための補助金の予算(300億円)を確保していた。

 歴史的にみて、スマートメーターの普及策の参考になるのは、電力と同じネットワークビジネスである電気通信分野で、NTTが1985年の民営化にあわせて実施したネットワークに接続する端末(当時のNTTの場合は電話機、現在の東電の場合は電力計)の自由化である。

 それまで、NTTは通信ネットワークに支障を与える懸念があるとして、自社製の電話機以外の接続を認めていなかったが、このときから一定のスペックを満たしていることが第3者機関の検査で確認された電話機ならば、ユーザーが自由に購入やレンタルで入手して接続できるようにした。

 NTTの前例となったのは、日本と同様に、通信市場の独占を認められていた米国の旧AT&Tのケースだ。同社は、1968 年に「カーターフォン事件の裁定」を受けて、AT&T製でない電話機の通信網への接続を容認させられていた。

 ちなみに、このカーターフォンというのは、油田などで使われていた、公衆電話網に接続できるコードレス電話機だ。

 この端末の接続自由化をきっかけに、日米両国では、以前とは比較にならないほど廉価でおしゃれなデザインや便利な機能を持った電話機の接続が大きなブームになった。

 さらに、留守番電話機能の付いた電話やファクシミリ、コードレス電話、コンピューター、PCなどが次々と接続されるようになっていく。

 今日のように、インターネット関連のビジネスが急成長する最初のきっかけになった自由化だった。

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