民主・輿石幹事長の「策」やいかに!? 小沢氏の党員資格停止処分解除を強行した理由とは
消費増税関連法案の本格審議入りを16日に控える〔PHOTO〕gettyimages

 5月9日午後、検察官役の指定弁護士3人は、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制起訴された小沢一郎元代表に対し「無罪」とした東京地裁(大善文男裁判長)判決を容認できないとして東京高裁に控訴した。

 主任役の大室俊三以下、村本道夫、山本健一の3弁護士の中で村本弁護士が最強硬派で、控訴決定に向け議論を終始リードしたという。法曹関係者の間では当初、控訴を主張するのは村本氏のみで大室、山本両氏が消極的なため、控訴断念説が支配的だっただけに意外感をもって迎えられた。

 だが、民主党執行部周辺によると、輿石東幹事長は「控訴の可能性が高い」との情報を得ていたがゆえに小沢氏の党員資格停止処分解除を急いだというのだ。7日に開かれた民主党役員会で「一任」を取り付けた輿石氏は、翌日の常任幹事会で「刑の確定まで待つべきだ」との異論が出たにもかかわらず、最後は処分解除で押し切った経緯がある。

"影の総裁"の張り切りに困惑?

 では、なぜ輿石氏は、指定弁護人が控訴か否かの決定前に小沢氏の「党内復権」の道を拓く処分解除を強行したのか。小沢氏に「貸し」を作るためと、「借り」を返すためという両説がある。

 前者の見方は、輿石氏が「反消費増税」の小沢氏をこれ以上追い詰めて消費増税関連法案の採決で造反することを阻止・党分裂回避、と同時に「消費税増税に政治生命を懸ける」野田佳彦首相の顔を立てるという"一石二鳥"を追求しているというもの。

 一方、後者の見方は、小沢氏が代表、幹事長を歴任する過程で輿石氏を参院民主党幹事長、参院議員会長に起用、現在の党内最大実力者に地位に押し上げたことと、2007年から09年にかけて同党の「組織対策費」約9,500万円を支給したことを輿石氏の「借り」と受け止めているというものだ。

 筆者が承知している限り、両面あると思われるが、輿石氏の力点は前者にあると見るべきだろう。というのは、現下の焦点である衆院社会保障・税一体改革特別委員会(委員長・中野寛成元衆院副議長)での消費増税関連法案の本格審議入りが16日に控えていることと無関係ではないからだ。

 同特別委員会の理事構成は、民主党の鉢呂吉雄元経済産業相が筆頭理事、武正公一財務委員長が次席理事、自民党の伊吹文明元幹事長が筆頭理事、逢沢一郎元国対委員長が次席理事である。

 この間の新聞報道で"超大物筆頭理事"として伊吹氏の言動が報じられている。『読売新聞』(5月11日朝刊)が「特別委仕切る-伊吹氏意欲、民主に期待と不安」、『朝日新聞』(9日朝刊)は「自民、伊吹氏が突出-増税関連法案で仕切り役、"影の総裁"制御に苦労も」と書き、谷垣禎一総裁が旧大蔵省出身で長老の伊吹氏を自民党側の仕切り役で起用したが、国会内の幹事長室に陣取るなど、その張り切りぶりに早くも困惑しているというのだ。

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