アラブ各国の民主化デモでフィリピン経済が沈む理由

アジア・タイムズ・オンライン(香港)より PHILIPPINES

2011年05月03日(火)
〔PHOTO〕gettyimages

 はるか遠方の国々が革命の渦中にあることによって、フィリピンでは失業者が大幅に増加している。

 フィリピンの経済はいま、危機に瀕している。2008~09年の金融危機によって受けたダメージからは立ち直りつつあるが、今度は、中東および北アフリカのアラブ諸国で政情不安が広がっていることが、大きなマイナス要因になりそうだ。

 フィリピン経済にとって、人口の8人に1人に上る出稼ぎ労働者による海外からの送金が重要な外貨収入となっている。2010年、海外で働く1100万人が本国に送金した金額は総計188億ドル(約1兆6000億円)。これは同国のGDPの10%にあたり、うち3分の1はアラブ諸国からの送金だった。

 しかし現在、政情不安のアラブ諸国では多くのフィリピン人労働者たちが仕事を失い、脱出しつつある。フィリピン政府のデータによれば、中東と北アフリカ諸国で働くフィリピン人は300万人以上。民間のある機関によると、さらに数十万人の不法な労働者が滞在しているという。

 出稼ぎ労働者が戻ってくることで、フィリピン経済が受けるダメージは大きい。海外からの送金が、国内消費を牽引する重要な要素となっているからだ。消費が落ち込み、小売業や娯楽産業が大きな打撃を受けることは容易に予想される。

 失業者の増加も、社会問題となるだろう。昨年、フィリピン経済は過去31年間で最も大きな7・3%の成長を遂げたが、失業率は公式の統計でも7・3%(潜在的失業者も加えるとこの約3倍になる)と高い。同国の移民局によれば、毎日なんと約4500人が仕事を求めて海外に旅立っていくという。彼らの多くは満足に教育を受けられなかった貧しい人々で、帰国すれば失業者となる可能性が高い。

アジア・タイムズ・オンライン(香港)より

 失業者になるのは出稼ぎ労働者だけではない。日本の震災の影響はフィリピンにも及んでおり、重要な国内産業の一つである電子産業の現場では、一時的なリストラが予想される。

 だがフィリピン政府はいまのところ、こうした危機に対する充分な対策は打ち出せていない。

 

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