グリー、DeNAなどソーシャルゲーム業界は「役所とマスコミ連合軍」につぶされるのか?コンプガチャ規制の背景にある消費者庁、警察庁の「縄張り争い」
伊藤 博敏 プロフィール

 発端はゴールデンウィーク(GW)の真ん中、5月5日付けの『読売新聞』が、1面トップで報じた「コンプリート(コンプ)ガチャ規制」だった。

 正直にいって、携帯電話などを使ったグリーの「探検ドリランド」、DeNAの「怪盗ロワイヤル」といったソーシャルゲームで遊んだ経験のある人か、成長産業としてのソーシャルゲーム業界を認識する証券・ビジネス関係者でなければ、「コンプガチャ」の意味も含めて、記事の中身を正確には理解できなかったのではないか。

 記事を読んでも、「高額料金請求の怪しい携帯電話商法」というイメージしかわかない。消費者庁が「コンプガチャ」を景品表示法に違反しているとして、近く中止を要請するというのだが、規制の前提事実として『読売新聞』が挙げているのは、ゲームを有利に進めるレアアイテムを取得するために、カプセル入りのおもちゃ販売機のガチャガチャをイメージしたネット上の「ガチャ」を引かせ、男子中学生が1ヵ月に40万円以上、小学生男児が3日で12万円も使ったという実例だった。 

消費者庁と警察の縄張り争い

 さすがに証券市場の反応は早かった。

 GW明け後の5月7日、ソーシャルゲーム業界は売り一色となり、代表銘柄のグリーもDeNAもストップ安をつけ、2,000億円近い時価総額を吹き飛ばした。5月8日には、落ち着きを取り戻したものの、「規制ひとつでどうにでもなる産業」であることを露呈、ビジネスモデルを懐疑する投資家が増えた。

 それにしても、携帯電話などのゲームにまったく興味のない人にとって、報道の意味さえつかめない規制が、証券市場を揺るがす事件となる。そんな企業が、日本経済の牽引車となっているのが現実だ。

 ソーシャルゲーム業界の問題は、射幸心をあおって「ガチャ」を続けさせる高額請求だけではない。ゲームから離れられず、生活に支障をきたすヘビーユーザー問題が発生している。

 監督官庁にとってもマスコミにとっても、批判しやすい材料が満載である。

 実は、今月中にも「景品表示法違反」の見解を示すと見られる消費者庁によって、ゲーム業界の所管はとりあえず同庁になったわけだ。

 そもそも水面下では「風営法による規制」をもくろむ警察庁の動きもあり、役所の縄張り争いが続いていた。

 商品についたシールやカードといった"おまけ"が欲しい子供に、要りもしないチョコレートなどを買わせる商法は、景品表示法で懸賞にあたるとして禁じられている。

 「コンプガチャ」もそれに違反していると見られていたが、規制の動きを察知したグリー、DeNAなど6社が、事前に消費者庁に相談、3月には「環境向上連絡協議会」を設置するなど「自主規制」に動いていた。そうした流れを見届けようとする向きもあった。

 だが、ネット規制を通じて、新たな縄張りを確保しようとする警察庁が、「そんなにぐずぐずしているなら、高額請求被害者に『被害届』を出させたうえでの摘発も可能」という姿勢を見せ始めた。そのことで消費者庁の動きは早くなる。

 4月26日の記者会見で消費者庁は、『読売新聞』の記者に答える形で、慎重な言い回しながら「規制」を示唆、おそらくその後の取材で幹部の言質を取った同紙が記事にした。役所とマスコミのいつもの連携である。

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