民主党政府「行革やる気なし」で霞が関の高笑い。私的懇談会発足で「行政刷新会議」もお払い箱に
政権交代以来の旗印を降ろしにかかった(?)野田内閣〔PHOTO〕gettyimages

 政府が設置した「行政改革に関する懇談会」の初会合が5月7日、首相官邸で開かれた。出席した野田佳彦首相は、行政改革を社会保障と税の一体改革と同じぐらい大きな課題だと述べ、「より一層、身を切る改革を行えという国民の声をしっかり受け止め、結果を出していきたい」と語ってみせた。

 メディアも、中曽根康弘内閣当時の「第2次臨時行政調査会(土光臨調)がモデル」「平成版土光臨調」と官僚受け売りの形容詞を付けて報じたが、その内実はお寒い限り。どうやら民主党政府は政権交代以来掲げてきた「行革刷新」の旗を、ついに降ろしにかかっているようなのだ。

 政権交代後の民主党政府の二枚看板が「国家戦略室」と「行政刷新会議」だったのは周知の通りだ。共に国家戦略相、行政刷新相というそれまでに無かった名称の大臣を置き、政治主導で「国のかたち」を根本から作り変えるはずだった。

 ところが、国家戦略室は当初計画していた「国家戦略局」への格上げもままならず、「国家戦略の司令塔」とは程遠い存在になり果てた。

 一方の行政刷新会議はというと、「消費税増税に国民の理解を得るには今こそ行政刷新が重要」という段になって事実上消滅することとなった。行政刷新会議の役割を発展的に受け継ぐのが、この日初会合を行った懇談会という位置付けなのだ。実際、10人のメンバーのうち稲盛和夫京セラ名誉会長を除く9人は行政刷新会議の民間議員がそのまま名前を連ねている。

懇談会は行政構造改革会議の前身?

 ではなぜ、行政刷新会議ではなく、新設の懇談会なのか。

 行政刷新会議は政権交代後の2009年9月18日に閣議決定され設置が決まった。閣議決定には以下のように書かれていた。

「国民的な観点から、国の予算、制度その他、国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行うため、内閣府に行政刷新会議を設置する」

 野党からは法的な設置根拠が薄弱だと批判されてきたが、まがりなりにも閣議決定されている。会議の議長は首相、副議長は行政刷新相とし、構成員は「内閣総理大臣が指名する者及び有識者」とされた。つまり、首相と行政刷新相が強力なリーダーシップで行政全般のあり方を刷新する仕組みを作ったわけだ。

 その後、事業仕分けや特別会計改革、独立行政法人改革などが批判はあるものの前進したのは、政治主導の受け皿として行政刷新会議があったからにほかならない。

 ところが、今年になって民主党は行政刷新会議を廃止する方針を打ち出した。産経新聞によれば「消費税増税に向け、公務員人件費の削減や国有資産の売却など行政刷新会議が取り扱わなかったテーマを中心に、行政改革全般に取り組むため組織の見直しが必要と判断した」ためだという。

 この方針に従って4月13日に民主党と国民新党の議員立法として「行革実行法案」を国会に提出した。首相を本部長として全大臣で構成する「行政改革本部」と民間有識者による「行政構造改革会議」を設置、会議の提言を受けて本部が工程表を作り実施していく、というものだ。

 もっとも、国会が衆参ねじれ状態の中で、この法案の成立は覚束ない。今回発足した懇談会は行政構造改革会議の前身という位置付けだとされる。

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