学校・教育 シンガポール
仕事を続けながら名門MBAを取ると言う選択
シカゴ大シンガポール校の通学型MBAの全貌

 MBAを取りたい。MBAはやはり英語で名門で学びたい。しかし、今の仕事も捨てがたく、辞めて二年間もMBAに費やすべきか迷っている。---これから加速するグローバル化時代をひしひしと感じている人にこそ、こういう人は多いのではないか?

 これは日本人だけの悩みではない。世界中のキャリアアップを狙う若手に共通のものだ。このニーズを世界の名門ビジネススクールがキャッチしないはずがない。仕事を続けながらの通学型MBA、いわゆるEMBAの創設である。そして、この名門MBAの動きを国家戦略に組み込もうという国がある。シンガポールである。シンガポールはその英語力を活かし、アジアにおける教育のハブを目指している。

グローバルリーダーには仕事とMBA取得の両立が不可欠

 シンガポールでの通学型MBAの代表格がシカゴ大学である。USニューズ誌の2011MBAランキングで全米第5位、2008年にはハーバードを抑えて第一位となった名門である。世界ナンバーワンのコンサルティング会社マッキンゼー社を立ち上げたジェームスマッキンゼーもここで教鞭をとっていた。ノーベル経済学賞受賞者のマイロン・ショールズ氏もここのMBAである。

 シカゴ大学の通学型MBAは、シンガポールに加え、シカゴ、ロンドンの3カ所にキャンパスを持っている。シンガポール、ロンドンは分校とはいえ教授陣はすべてシカゴの本校から派遣されている。どのキャンパスでもまったく同じ教育が受けられるようになっているのだ。

 シカゴ大通学型MBAが対象としているのは、職業経験10年程度、マネージメント経験3年以上、つまり、年齢的にいうと学部卒で32歳以上の者である。実際のシンガポールキャンパスの平均年齢は34歳、シカゴとロンドンで40歳。 インドネシアやフィリピンなど東南アジアから来ている学生の多くは、財閥系の御曹司が多く、若くして経営陣となっている。これがシンガポール校の平均年齢がシカゴやロンドンより低い理由だ。

 さて、肝心の通学型MBAプログラムの内容だが、これは相当きつい。約5週間の間隔を空けて、1週間の集中授業が各キャンパスで行われ、2年弱の期間中合計16週授業がある。キャリアを続けながらの通学型とは言えいわゆるオンライン授業ではない。つまり平均で毎月一度7時間かけてシンガポールに飛んで、一週間滞在し集中して授業を受ける。これを約二年間続けるのである。勉強も大変だが、仕事をこなすのも大変だと思う。

 今回、これを実際にいま行っている人物に話を聞いた。彼は私がハーバード時代に大変にお世話になった元幹部自衛官のご子息だ。体育会バスケットボール部出身で現在某米系グローバル企業の東京オフィスに勤務中の32歳。仮に青山さんとしておこう。青山さんは月に一週間ずつ休みをとってシンガポールに“通学”している。すでに結婚して、子どももいる。けれど将来を見据えて、海外に出るのはいましかない! と、家族や周囲を必死に説得したという。

ーーなぜMBAではなく、通学型のEMBAにしたのか?
私は「いつか将来グローバルリーダーになる」ことを目指していました。若いうちに必ず、海外留学しようと決めていたのです。

 当初は会社を休職して、欧米トップスクールの MBAを念頭に、準備を進めていました。当時、私は30歳になったばかりでした。

 あるとき、私の計画が人事部長の耳に入り、留学を猛反対されました。彼曰く「仮に2年間留学した場合、仕事から得られる貴重な機会を失うだけでなく、ビジネスの一線から離れることで成長スピードが鈍化、もしくは能力そのものが減退する可能性が高いと思う」とのことでした。つまり私の計画は、私のその後のキャリアにとってマイナスになるだろうと。とてもショックでしたが、説得力はありました。

 それでも、「不確実な環境のもと、不完全な情報から正確な決断を下すためには、日本の仕事で経験を積むだけでは足りません。自分たちの世代は、グローバルで通用する、原理原則に裏付けされた思考プロセスを、海外に出て身に着ける必要があり、体系的なビジネス知識、経営知識を学ばなければならないと思うんです」と訴えたのです。すると、「そこまで言うなら仕事を続けながらやってみろ。アジアにはいくつかEMBAがある。それであればサポートできる」と言われ、初めてEMBAの存在を知りました。

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