仕事を続けながら名門MBAを取ると言う選択
シカゴ大シンガポール校の通学型MBAの全貌

2012年05月07日(月) 田村 耕太郎

 MBAを取りたい。MBAはやはり英語で名門で学びたい。しかし、今の仕事も捨てがたく、辞めて二年間もMBAに費やすべきか迷っている。---これから加速するグローバル化時代をひしひしと感じている人にこそ、こういう人は多いのではないか?

 これは日本人だけの悩みではない。世界中のキャリアアップを狙う若手に共通のものだ。このニーズを世界の名門ビジネススクールがキャッチしないはずがない。仕事を続けながらの通学型MBA、いわゆるEMBAの創設である。そして、この名門MBAの動きを国家戦略に組み込もうという国がある。シンガポールである。シンガポールはその英語力を活かし、アジアにおける教育のハブを目指している。

グローバルリーダーには仕事とMBA取得の両立が不可欠

 シンガポールでの通学型MBAの代表格がシカゴ大学である。USニューズ誌の2011MBAランキングで全米第5位、2008年にはハーバードを抑えて第一位となった名門である。世界ナンバーワンのコンサルティング会社マッキンゼー社を立ち上げたジェームスマッキンゼーもここで教鞭をとっていた。ノーベル経済学賞受賞者のマイロン・ショールズ氏もここのMBAである。

 シカゴ大学の通学型MBAは、シンガポールに加え、シカゴ、ロンドンの3カ所にキャンパスを持っている。シンガポール、ロンドンは分校とはいえ教授陣はすべてシカゴの本校から派遣されている。どのキャンパスでもまったく同じ教育が受けられるようになっているのだ。

 シカゴ大通学型MBAが対象としているのは、職業経験10年程度、マネージメント経験3年以上、つまり、年齢的にいうと学部卒で32歳以上の者である。実際のシンガポールキャンパスの平均年齢は34歳、シカゴとロンドンで40歳。 インドネシアやフィリピンなど東南アジアから来ている学生の多くは、財閥系の御曹司が多く、若くして経営陣となっている。これがシンガポール校の平均年齢がシカゴやロンドンより低い理由だ。

 さて、肝心の通学型MBAプログラムの内容だが、これは相当きつい。約5週間の間隔を空けて、1週間の集中授業が各キャンパスで行われ、2年弱の期間中合計16週授業がある。キャリアを続けながらの通学型とは言えいわゆるオンライン授業ではない。つまり平均で毎月一度7時間かけてシンガポールに飛んで、一週間滞在し集中して授業を受ける。これを約二年間続けるのである。勉強も大変だが、仕事をこなすのも大変だと思う。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。