[ボクシング]
近藤隆夫「WBA、WBC、IBF、WBO……団体乱立の中で“世界最強”を名乗るには」

亀田は世界最強?

「亀田興毅は、(プロ)ボクシングのバンタム級世界チャンピオンなんでしょ。ということは、バンタム級では世界一強いんですよね?」

 先日、ある大学の陸上競技部の取材を終え、雑談をしていた時に、ひとりのコーチから、そんな風に聞かれた。「世界チャンピオン=世界で一番強い」。そう考えるのが普通である。しかし、プロボクシングの世界は、普通ではない。そのことを説明するのに少々、時間がかかった。

4月に初防衛を果たした山中は、亀田との統一戦を希望する。

 亀田は現在、WBAが認定するバンタム級の世界チャンピオン。だが、ほかにもバンタム級の世界チャンピオンが存在するのである。
WBC世界バンタム級チャンピオン=山中慎介(日本/帝拳)
IBF世界バンタム級チャンピオン=現在、空位。前王者はアブネル・マレス(メキシコ)
WBO世界バンタム級チャンピオン=ホルヘ・アリセ(メキシコ)

 世界チャンピオンを認定するボクシング団体は他にもあるが、主要と呼べるのはWBA(世界ボクシング協会)、WBC(世界ボクシング評議会)、IBF(国際ボクシング連盟)、WBO(世界ボクシング機構)。これだけでも同じ階級に世界チャンピオンが4人存在することになるのだ。

 つまり亀田は、複数いる世界チャンピオンのひとりであり、バンタム級で世界で一番強いわけではないのである。これはもちろん亀田に限った話ではない。世界チャンピオンのベルトを腰に巻いていても、それは世界最強の証などではなく、強いボクサーのひとりであることを誇示しているに過ぎない。

 さて、これまで日本ボクシングコミッション(JBC)は、IBFとWBOの世界タイトルを認めていなかった。「世界チャンピオンが乱立することは好ましくない」というのが、その理由だ。

 よって日本でライセンスを交付されているプロボクサーはWBA、WBCの世界チャンピオンを目指すことはできても、IBF、WBOとは関われなかった。この1日(現地時間)に、元WBAスーパーウェルター級暫定王者の石田順裕は、モスクワでWBO世界ミドル級王座に挑戦して敗れた。試合前に彼はJBCに引退届を提出している。