選挙
小沢一郎がにらむのは9月の民主党代表選か、それとも新党結成・政界再編か

 民主党元代表・小沢一郎に対する東京地裁の無罪判決は「限りなくクロに近いグレー」だった。それに対してメディアの反応は厳しいが、元々、世論を気にしない小沢にとっては「完全無罪」だ。この判決をテコに、小沢はこれまでにも増して自由に動き回り、波紋を呼ぶさまざまな言動を行っていくようになるだろう。その先にあるものは9月の民主党代表選で自らが立つか代理人を立てて政権奪取を目指すのか、それとも新党結成・政界再編か―。

党分裂を恐れた輿石 

 小沢は強制起訴されたのを受けて、昨年2月、民主党から「判決確定まで党員資格停止」の処分を受けた。つまり、検察官役の指定弁護士が控訴したなら、判決は確定せず、処分は継続される。控訴期限は5月10日。この日まで待つのが論理的な判断だ。

 ところが、幹事長・輿石東は26日午前、東京地裁で裁判長が判決文の朗読している最中に、処分解除を「当然」と言ってのけ、5月連休明け早々に党内手続きを行う方針を表明した。輿石は7日の役員会で解除手続きに入ることを決め、8日の常任幹事会で決める考えだ。

 政調会長・前原誠司や副総理・岡田克也らは日本の裁判制度が3審制を取っており、控訴の可能性があることを理由に難色を示している。だが、輿石が明確な方針を示しているため、反対論が広がりにくい。

 輿石はなぜ、これほど素早く小沢の処分解除に動くのか。小沢グループの幹部はこう見る。

「我々は当初、消費増税法案の衆院本会議採決がヤマ場とみていたのに、小沢さんは3月30日の閣議決定時点で勝負をかけ、役職辞任を暗に求めた。辞表を提出したのは副大臣・政務官4人と党のポストに就いていた30人の計34人。小沢さんの想定より少なかったが、我々に踏み絵を踏ませ、野田佳彦首相をけん制した。そこまでしか分からなかったが、今にして思うと最も効果的だったのは輿石さんに対してだった。輿石さんは小沢さんに怒りを感じると同時に、処分解除を急がなければ党が分裂すると恐れたのではないか。小沢さんはすごいと改めて思った」

 この幹部は権力闘争における小沢の勝負カンに舌を巻いた。こうした判断力が小沢の魅力であり、付いていく人がなかなか減らない理由のひとつだ。

 輿石は旧社会党時代に「社会党の金丸信です」と名乗っていたことがある。輿石も金丸も同じ山梨出身。金丸に取り入り、金丸の力を巧みに利用して政界の階段を駆け上った小沢にすれば、金丸よりかなりスケールが小さい輿石を操るのは実にたやすいことだ。

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