8兆円の大型上場を平然と引きのばす
フェイスブック流IPO駆け引きの正体

上場を渋っている(?)マーク・ザッカーバーグCEO〔PHOTO〕gettyimages

 4月23日、フェイスブックは未定だった上場先を"ナスダック"に決めた。時価総額1,000億ドル(約8兆1,000億円)を狙う同社の大型株式公開は、伝統的な企業がひしめくニューヨーク証券取引所ではなく、ハイテク企業が顔をそろえるナスダック証券取引所に決まった。

 とはいえ、同社のIPO(新規株式上場)が順調に進んでいるとは言い難い。上場先が定まったにも関わらず、米国のメディアでは"上場の遅れや延期"を憶測するニュースが飛び交い「フェイスブックは、いつ上場するのか」で大騒ぎを続けている。今回は、競争に明け暮れるフェイスブックが、上場時期を巡って展開する微妙な駆け引きの裏事情を考えてみよう。

上場は6月にずれ込むか

 今年2月、フェイスブックが新規株式公開を発表して以来、株式上場は5月中旬説が有力だった。5月17日前後と予測するメディアやアナリストは多く、5月上旬や20日前後とする説が、それに続いていた。

 米国では上場前に「ロードショー」がおこなわれる。これは、新規公開株を買ってくれそうな機関投資家を上場予定企業のトップが挨拶して回る儀式で、今回のような大型上場を成功させるためには欠かせない。通常、ロードショーは2週間程度なので、もし5月17日であれば、来週早々にはマーク・ザッカバーグ(Mark Zuckerberg)CEOが、動き出さなければならない。

 しかし、今週火曜日(4月24日)に大手メディアのCNBCが、フェイスブック関係者筋の話として「上場は遅れる」との予想記事を掲載した。同記事ではザッカバーグ氏が日常業務に忙しいため、5月7日から14日当たりという上場スケジュールは実現しそうにないと指摘した。

 これを契機の多くのメディアが「IPO時期」で報道合戦を始めた。経済紙や一般紙では、6月上場説も増えている。これはメモリアルデー(戦没者追悼記念日)があるため、5月末は上場に不適切だとの判断による。

 逆に、ハイテク業界誌では、フェイスブックの上場をもっと先に延期すべきだと主張する記事もある。その理由は、先頃発表されたフェイスブックの2012年3月末締め決算が前年同期比で利益が12%の減少と不調だったことだ。一般に、米国の広告市場は、年末商戦明けの第1四半期が厳しい。しかも、フェイスブックは新広告システムの営業を開始したことで営業経費が膨らみ、前年比でマイナスとなったわけだが、投資家にはそうした言い訳は通用しない。

 しかも、ネット共同購入サービスのグルーポン(Groupon)やソーシャル・ゲームのジンガ(Zynga)、口コミサイトのヤイプ(Yelp)、カーシェアリングのジップカー(Zipcar)など最近上場しているインターネット・ベンチャーは、株価が軒並み"上場価格割れ"となっている。

 4月、上場価格を辛うじて上回っているのは、リンクドイン(LinkedIn)のみというひどい状態が続いている。また、今年に入り右肩上がりで伸びてきた米証券業市場が、4月に入って平均株価を下げている点もフェイスブック新規上場に逆風となっている。

 しかし、こうした環境の悪化が、フェイスブック上場延期の理由とは言い難い。では、フェイスブックは、なぜ上場を渋っているのだろうか。

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