『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』著者:適菜収 なぜ日本人は騙され続けるのか? 【第1回】

はじめに 神は死んだ!

 今の世の中はおかしいと思いませんか?

 私はおかしいと思います。

 でも、その「おかしさ」は簡単に修正できるようなものではありません。

 なぜならそれは、歴史的、思想史的に発生した大きな変動の上に存在しているからです。

 一九世紀ドイツの哲学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(一八四四~一九〇〇年)は、世の中がますますおかしくなっていくことを予言しました。

「私の物語るのは、次の二世紀の歴史である。(中略)この未来はすでに百の徴候のうちにあらわれており、この運命はいたるところでおのれを告示している」(『権力への意志』)

 それではわれわれの時代の一番の問題はなにか?

 それはなにも信じることができない時代になったということです。

 価値の根拠があやふやになってしまったということです。

 その原因は《神様》が引っ越ししたことにあります。

 一七世紀から一八世紀にかけて《神様》が座っている位置が変化したので、われわれ人間もなんだかそわそわしているということです。

 ニーチェは「神は死んだ」と言いました。

 漫画の『ドラえもん』にも登場するくらい有名な言葉なので、哲学に興味がない人でも小耳に挟んだことがあるかと思います。

 でもその言葉の意味となると、正確に理解している人は少ない。

『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』
著者:適菜 収
講談社プラスアルファ新書
定価880円(税込み)

◎内容紹介◎

19世紀の終わり、ニーチェはこの先、2世紀がニヒリズムが徹底されていく過程と予言しました。その予言は的中。あらゆる「真理」の根拠を失った近代人 は、ますますおかしな袋小路に閉じ込められるようになりました。政治やJポップ、グルメ、経済などを素材に、「なぜいまの世の中はおかしいのか」を明らか にしていきます。B層=近代を妄信するバカの行動パターンを分析することで、今の時代の病を浮き彫りにします。