経験・能力関係なし! "ど素人"でも大臣になれる野田内閣のもと、今日も日本には混乱の嵐が吹き荒れる
国民の不安と不満に田中直紀防衛大臣はどう応えるつもりなのか・・・   〔PHOTO〕gettyimages

 4月20日(金曜日)の参議院本会議で、自民党、みんなの党、そして我が新党改革が共同で提出した二大臣、つまり前田武志国土交通大臣と田中直紀防衛大臣の問責決議案が、野党そろっての賛成で可決された。当然のことだと思う。

 前田国土交通大臣は、公職選挙法違反の行為があった以上、刑事罰すら科せられる状態であり、これで大臣を続けるのは無理である。日本国の大臣は、日本国の法律を遵守しなければならない。

 田中防衛大臣は、安全保障の基礎的知識もなければ、それを習得する能力も意欲もない。今回の北朝鮮による弾道ミサイル発射に際しても、的確な対応がとれなかったし、危機管理能力の欠如を露呈した。これ以上、彼が防衛大臣を続けることは、国益に反するし、日本国民の生命と財産が危殆(きたい)に瀕する。

 以上のような理由から、私たちは問責決議案を提出したのであり、彼らを大臣に登用した野田首相には、任命責任がある。とくに防衛大臣については、一川保夫前防衛大臣は「素人」、そして田中防衛大臣に至っては「ど素人」というのだから、開いた口がふさがらない。これは、参議院の輿石人事であろうが、かつての自民党参議院のリーダー、青木幹夫をそこまで真似る必要があるのだろうか。

 私は青木氏の下で仕事をしてきたが、彼の権力の源泉は人事であった。つまり、自分に反旗を翻さないかぎり、傘下の参議院議員に、年功序列で大臣のポストを分配する。能力は関係ないし、適材適所ということもない。だから、黙って青木氏について行けば、いつかは必ず大臣になれるというわけである。

 あるとき、青木氏に、次に大臣ポストを約束された議員が何大臣に就任するのかを尋ねたことがある。答えは、「何大臣でもかまわない。要は大臣にすることだ。」であった。輿石氏は、この流儀を踏襲したまでである。

 参議院が二人の大臣を問責したということは、野田内閣そのものに大きな疑問符をつけたことを意味する。これは、参議院としての意志である。したがって、大臣の交代がないかぎり、この内閣が提出した法案を国会で審議すべきではない。閣法ではなく、議員提出法案については当然審議をしていく。これが私たちの立場である。

 この大臣以外にも、疑問符をつけたくなる大臣がいる。たとえば、枝野幸男経済産業大臣である。原発政策について、政策のぶれが目立つ。大飯原発の再稼働は、どのように決定したのか。素人の大臣たちだけで決めてよいのか。専門家には十分諮ったのか。そもそも、大震災・原発事故のときに官房長官として危機管理に失敗した人物を、原発担当の経産大臣に任命する民主党のセンスを疑う。

失敗しても責任はとらなくてよい、失敗してもさらに出世する、公用車の配分を受けるためには形振り構わない。これらが民主党の流儀である。だから、総務大臣辞任後のポストとして総務委員長職を用意したり、辞めたばかりの環境大臣を環境委員長にしたりしている。三権分立も何もあったものではない。

進行する内部崩壊

 さて、今後の政局はどう動いていくのか。

 民主党と自民党・新党改革はチキンゲームに突入したと言ってよい。世論は、国会審議拒否、職場放棄を批判してくるであろうし、二大臣担当以外の委員会審議には公明党やみんなの党は応じている。野党内部で戦略が異なる。

 しかし、政権与党の民主党は、内部で大分裂が起こっている。

 4月26日には、小沢一郎氏に判決が下される。有罪か無罪かで政局に与える影響も異なってこようが、この判決を見るまでは、誰も明確な戦略は描けないであろう。もし無罪となれば、小沢氏は野田執行部に対する批判を強めていくであろう。

 しかし、世論はクロではないにしても、シロでもないという疑惑を根強く持っている。世論的に見れば、小沢復権は絵に描いた餅にしかすぎまいが、この民主党内のコップの嵐が、大阪の橋下旋風と連動する可能性も否定はできない。

 政策実行という点からは、税と社会保障の一体改革の展望は見えていない。二人の閣僚が辞任しないかぎり、自民党や新党改革は審議に応じない。社会保障の全体像がやはりまだ明確にされていないし、現場を知らず、実務を経験していない官僚や政治家が机上の空論を振りかざしている。

 外交も問題山積である。やはり、これらの課題は、野田内閣には荷が重すぎるのである。

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