「金利が上昇すれば金融機関の経営が危なくなる?!」「保険のかけれない原発のリスクは?」「税務調査を可視化すれば」保険思考で消費税増税、原発再稼働、税務調査を考えよう

 いろいろなことを考えるとき、シナリオでは最悪の事態が起きたときのことも考えざるを得ない。しかも最悪の事態があり得るというだけでなく、それが起こりえる確率も考える。といっても、言うは易く行うは難しだ。そこで、活用すべきなのは「保険思考」だ。保険思考で消費税増税、原発再稼働、税務調査を考えてみよう。

 まず消費税増税について考えてみる。社会保障のためというが、最終的には財政再建のために必要だというわけだ。マスコミは、「財政再建のために増税が必要」と何気なく書くが、これは正しくない。おそらく「増税=税収増加」と勘違いしている。

 増税とは税率の引き上げであり、税収増加に直結しない。消費税率を引き上げると、最終消費はあまり下がらないので、消費税税収は増加するかもしれない。ところが、経済活動は萎縮して所得税税収や法人税税収は下がるだろう。特に、いまのようなデフレではその公算が高い。実際に前回の消費税増税した1997年以降はそうなっている。

 そうした常識は今の財務省にはない。財務省の歴史は長いが、経済成長よりも増税を画策することはこれまでの歴史でもほとんどない。金解禁で大失敗した濱口雄幸や井上準之助ですら増税はしなかった。今の財務省はそうしたよき伝統から乖離している。

財政破綻のリスクを保険から考えてみる

 財政再建の必要性についても、その煽り方は稚拙だ。たしかに最悪のケースは考えなければいけない。そこで保険思考の出番だ。

 財政破綻したときに、国債がパーになるわけだ。そのために、本コラムでは何回が言及した(たとえば2011年12月19日付け)CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という一種の保険がある。財政破綻が大変ならば、その保険に入るという手がある。問題は保険料だ。

 日本のCDSレートは1.0%程度だ。これはフランス2%、イタリア4.6%より低く、米国0.3%、英国0.6%より高いが、ドイツ0.9%とは同程度で、先進国の中では低いほうの部類だ。ちなみに1%という水準は、アバウトにいえば100年で1回破綻するというレベルといえる。財政再建するにも、このレートを考慮しながら行えばいい。フランス、イタリアに比べて優先順位が高いとはいえない。もっとも、この数字自体も変化するので、過度に楽観視すべきでないことはいうまでもない。

 財政破綻しないとしても、急な金利上昇によって金融機関が危なくなるということを言う人もいる。財政再建の近道である名目経済成長を目指すために、インフレ目標を導入しようというと、必ずでてくる批判だ。これも本コラムで言ってきたこと(たとえば2月13日付け)、もしそうなってもたいしたことがない。リスクヘッジという保険がかけられる。具体的には、国債から株式・貸出に、国債出も長期から短期へシフトさせ資産サイドのマイナスは抑えられ、負債サイドはプラスになるので、チャラにできる。

 そもそも金利が上昇して国債に損失ができるという泣き言をいう金融機関を信用してはいけない。国債のまま運用して儲かるなんてことがおかしい。国債は同じ条件なら最低金利商品だ。そこに運用するとはもっとも非効率である。それで経済が持つはずない。泣き言は国債のまま運用していたい、貸出にまわしたくないということなので、資本主義経済では不要な金融機関だ。

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