世界的金融緩和の先にあるもの
利下げ実施に動いたインドの中央銀行〔PHOTO〕gettyimages

 景気後退や信用不安に苦しむ先進国に加えて、金融緩和策の波は新興国にも波及し始めている。4月下旬、インドが利下げ実施に動いたのに加えて、ブラジルも政策金利を引き下げた。金融市場では、「今後、中国は預金準備率の引き下げに動く」との見方も出ており、世界の主要国の殆どが金融緩和策を実施することになるとみられる。

 その背景には、2000年代中盤以降、不動産バブル崩壊に伴う世界的な景気後退がある。特にユーロ圏諸国は、依然としてバブルの後始末に苦慮しており、それが新興国にも波及しているのである。

 ただし、金融緩和策の実施によって、景気後退に関するすべての問題が解決できるわけではない。むしろ、金融政策で時間を稼いでいる間に、財政悪化に歯止めを掛けたり、企業の競争力を高める政策を実行することが必要だ。また、金利を引き下げ、潤沢な資金を供給することには副作用があることも理解しておかなければならない。

金融緩和策の実施とその影響

 中央銀行が政策金利を引き下げ、潤沢な資金供給を行うことは、基本的に景気拡大にプラスに作用する。「お金があると、モノを買いたい」という意欲が高まって消費が刺激されたり、企業経営者が積極的に設備投資を行う可能性が高まるからだ。

 ただ、1990年代後半以降のわが国の状況をみると、資金供給を増加させても、市中で流通する貨幣量が必ずしも増加しないケースがあった。人々が将来に強い不安を抱くような場合、「お金を使わず、将来のためにタンスにしまっておく」という行動をとりがちになる。

 そうなると、いくら中央銀行が資金供給を増やしても、世の中の貨幣の流通量は増えない。つまり、金融政策はオールマイティーではないのである。世界的に財政状況が悪化している現在、「金融政策に依存せざるを得ない」との意見を聞くことが多いが、金融政策の効果には一定の限界があることも理解すべきだ。

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