想定外の地震を想定せよ!! 原発周辺地域で発生しうる最大規模の地震を前提とした新基準でなければ、新たな「安全神話」を作り出すだけだ。
新潟県中越沖地震に見舞われた柏崎刈羽原発の教訓を「想定外」で片付けるのか〔PHOTO〕gettyimages

 先週、政府は大飯原発3,4号機について「二基が新たな安全基準を満たしていることを最終確認」したとしての再稼働を認める方針を決定した。前回、私は再稼働の是非に先立って、「新基準」の問題点を指摘規した。福島第一原発の事故原因特定がなされないまま、主たる原因を津波と「仮定」して行った緊急安全対策、外部電源対策、シビアアクシデント対策によって、安全だとする判断を「安易かつ無責任」だと厳しく指摘してきたものである。再稼働という個別事案を問うているのではなく、そもそも「安全」に対する政策決定のプロセスが不透明だと指摘したものである。

 しかし、世論並びにメディアは個別の再稼働の議論にどうしても流れてしまうと思われるが、あらためて私は、今回の福島第一原発事故において事故原因の特定を行い基準の見直しを考えていくうえでも何が問題の本質かを指摘しておきたい。

1.想定外の地震は、人為的に発生

 そもそも、福島第一原発の事故の第一原因は地震である。マグニチュード9.0レベルの地震発災によって引き起こされた事故であることは間違いない事実である。もちろん、その地震によって発生した津波が第二原因となることは十分考えられることではあるが、今回の事故を検証し安全基準の見直しを検討していくうえで、「地震」について第一に検証していかなければならないことは当然である。

 そこで、今回の東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震と原発事故の関係を整理したい。

 近年、原発事故と関連する地震動については、新潟県中越沖地震、東北地方太平洋沖地震がある。新潟県中越沖地震では柏崎刈羽原発、東北地方太平洋沖地震では福島第一原発に対して設計上の基準を超える地震動を計測している。柏崎刈羽原発については、保安院はIAEAの当時の現地調査のコメントとして「設計を超える地震動が発生したことについて、設計上、常に安全裕度を織り込んでおくことにより、実際に発生したことに耐えられる設計をするものであり、まさにそれが柏崎の事例。」として発表している。一方、「今回の重要な教訓の一つは、地震が設計時の想定値よりもはるかに上回ったこと。最大発生可能地震を想定する必要がある。」とも表明している。

http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g80220a12j.pdf

 つまり、わかりやすく言えば、「柏崎刈羽原発は設計を超える地震が来たけど原発は余裕度を見込んでいるから大丈夫だった。でも、想定をはるかに上回る地震が来たということは最大発生可能な地震を想定しないとダメだね」と言うことだ。

 そして、福島でも、それは起きたのである。

 更に、余裕度があるから大丈夫かどうかの確認は、いまだ近づくことができない原子炉の状況を考えると、まったくできていないということである。

 そもそも想定している地震動を超える地震が複数発生していること自体、大きな問題であり、このことは、自然界において偶然に生じたことではなく、設計上の地震動の策定方法そのものに問題があるという人為的な問題ととらえるべきなのだ。にもかかわらず、このことを「想定外」の一言で片付けている。これでは、同じ事象が再び生じる可能性がある。

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