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自滅する 北朝鮮・金王朝
「ミサイル発射」のバカ

発射直前に公開された北朝鮮のミサイル。最後まで「衛星」と主張した〔PHOTO〕gettyimages

 金王朝の威厳をかけて発射されたミサイルが空中分解し、失敗に終わった。権力維持の頼みの綱が切れ、政権内部、軍部、人民の不満を抑える手段はもうない。王朝の軋む音が聞こえてくる。

完全に孤立

 とんだ茶番、ならぬ「飛ばない茶番劇」だった。13日午前7時40分頃、北朝鮮が南へ向けて発射したミサイルは、わずか81秒後、一段目の切り離しに失敗して空中で爆発。当初想定していた、フィリピン南沖にはおよそ届かなかった。

 総書記の死から4ヵ月が経ち、正式に北朝鮮の指導者となった金正恩。その最初の「大仕事」に失敗し、青ざめていることに違いない。

「今回の発射は、新しい指導者の誕生を内外に示す〝祝砲〟の意味があった。それが失敗に終わったのだから、はなはだ縁起が悪い。

 おそらく北朝鮮の人民にはさまざまな言い訳を並べ立てて、今回の失敗について取り繕おうとするだろう。だが、遅かれ早かれ平壌には外部からの情報が入ってきて、その実態は市民の知るところとなるはずだ。

 金正恩の面子は丸つぶれとなり、最近昇進したばかりのミサイル開発の責任者らは、粛清されるかもしれない。しばらくは混乱した状況が続くのではないか」(韓国外商部関係者)

 国際社会も、たとえ発射が失敗に終わったからといって、北朝鮮に対して寛容な態度を見せることはない。国連安全保障理事会は、発射直後に緊急会合を開くことを決定し、北朝鮮に圧力をかけた。

 さらに日中韓の外相は、5月に行われる3ヵ国サミットで、北朝鮮の核問題について協議することを内々に確認したという。

 主要各国が敷いた「北朝鮮包囲網」によって、金王朝は完全に孤立した。今後アメリカをはじめとした国々が経済制裁などの具体的な措置を講ずれば、北朝鮮「崩壊」に向けて、時計の針が一気に進むことになるだろう。

「冷静に分析すれば、金正日が死んだ直後のいまが、金王朝の支配体制に終止符を打つ最大のチャンスなのです。国際社会がミサイル発射に対して厳しい姿勢をとることで、金正恩体制の延命策を断つことが必要なのです」(独立総合研究所代表・青山繁晴氏)

 しかし他国が制裁を加えるまでもなく、北朝鮮は内部崩壊を起こしてしまうかもしれない。

「ミサイルを発射した後、北朝鮮の内部では深刻な路線対立が起きる可能性があります。それによって、しばらくは不安定な状況が続くことになるかもしれません」

 北朝鮮事情に詳しい韓国・国防研究院安保戦略研究センターの白承周博士はこう指摘する。

「私が分析したところ、現在の北朝鮮には大きく分けてふたつの路線が存在しています。まず、米朝合意に当たった北朝鮮外務省幹部らを中心とした『米朝交渉派』、打ち上げたのは平和利用を目的とした人工衛星だと主張しつづけて、なんとかアメリカや国際社会との対話の道を閉ざすまい、とする勢力です。

 もうひとつが『強硬派』。ミサイル発射後に国際社会が北朝鮮を非難すれば、さらに過激な軍事的行動に出て恐喝外交を行おうという勢力です」

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