トヨタが乗り出した「新・農商工連携モデル」は、東北復興支援に留まらず新たな農業のビジネスモデルとなるか!?

記者会見したプロジェクトの関係者。左から村井嘉浩・宮城県知事、白根武史・トヨタ専務、清水順三・豊田通商副会長、高橋誠一郎ベジ・ドリーム栗原代表取締役、跡部昌洋・大衡村長

 トヨタ自動車は宮城県大衡村にある車体組み立て工場の脇に工場の排熱を利用した大規模な温室を新設し、2013年から野菜のパプリカを生産する。この温室は、コンピューターで管理された「野菜工場」であり、生産性向上などの面でトヨタのノウハウも活用するという。

 ビタミンCが豊富なパプリカは国内販売の9割以上を韓国などからの輸入に依存している。国内で栽培された安心安全なパプリカの生産・販売を強化することで、震災復興支援の一助としたい考えだ。

画期的なグループ内連携プロジェクト

 運営するのはトヨタグループの豊田通商の関連会社である、農業生産法人・株式会社ベジ・ドリーム栗原(本社・宮城県栗原市)。企業の農業参入として08年7月に資本金1億円で設立され、豊田通商の子会社の豊通食料が筆株株主。近隣の農家らも出資している。栗原市で計27億円を投資して「野菜工場」の第1・第2農場を稼働させ、すでにパプリカの生産を始めており、現地で計50人を新規雇用した。

 今回新設されるのは第3農場という位置づけ。これから入札するので投資額は未定だが、新規に20人を雇用する計画だ。

 トヨタは関連企業の車体メーカーである関東自動車やセントラル自動車を統合し、今年7月にトヨタ自動車東日本を設立。トヨタの工場がある中部地区、九州と並んで、東北を国内第3の生産拠点と位置付ける。新しい野菜工場が併設される大衡村の工場は現在、セントラル自動車の拠点で小型ハイブリッド車「アクア」などを生産しているが、統合後はトヨタ東日本の拠点となる。

 トヨタは、農業のベジ・ドリーム栗原と商社の豊田通商と工業のトヨタが協力し合うプロジェクトなので、「新・農商工連携モデル」と位置づけている。

 震災を契機に大衡村の工場にはエネルギーマネジメントを行う「F-グリッドセンター」を新設し、大型自家発電設備を導入。野菜工場に排熱を供給するほか、非常時に地域に電力を供給することも検討している。

 4月16日、「新・農商工連携プロジェクト」が発表され、第2農場の見学会などがあったので筆者も現地を訪れた。ここまでの話は、記者発表されたデータをベースに書いた話だが、トヨタグループのパプリカ生産の背景にある話が非常に興味深いので紹介したい。これまでほとんど書かれていない話である。筆者はある取材で偶然にそのことを知った。

パプリカを生産している温室(宮城県栗原市)
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