経済・財政
やっぱりこの人は日本経済の「現人貧乏神」。「ミスター・リスクオフ」白川日銀総裁の記者会見を読み込む

 4月10日、政策決定会合の後、日本銀行の白川方明総裁は記者会見に臨んだ。追加緩和策と共に「事実上のインフレ目標導入」と報じられた2月の決定会合が株式、外国為替両市場に好影響(株高、円安)を与えたこと、及び、ここにきてその株価と為替レートの動きに翳りが見えてきたことから、今回の政策決定会合には「日銀が追加の緩和策を発表するのではないか」と期待する特に市場関係者が多かった。(記者会見の内容は、日銀ホームページ「総裁会見要旨」4月11日付を参照されたい)

 3月半ばから日経平均で一万円をキープして、日本経済に明るいムードをもたらしていた株価も、スペインの国債入札不調などをきっかけに、ついに4月4日には一万円を割り込んでいた。特に株式市場は、何らかの追加緩和策なり前向きなメッセージなりを欲していた。

 もちろん、中央銀行が、株式投資家の希望にすべて応えなければならないというものではない。しかし金融緩和から株式を含めた資産価格の上昇が需要の拡大をもたらし、成長率の向上につながるというチャネルも、金融政策の重要な波及経路の一つだ。一万円台に乗せた株価の心理的効果も考えると、この政策決定会合は、追加の緩和策を投入するいいタイミングだった。

欧州では緊縮財政が景気に悪影響と認めたのなら

 会見でもしきりに繰り返したように、白川総裁は、成長力が強化されないと金融政策だけではデフレを脱却できない、あるいは、出来なくても仕方が無いと考えているのだから、成長力にインパクトを与えられるタイミングを逸したのは惜しかった。デフレからの脱却と成長率の向上を願う普通の国民の多くはそう感じたことだろう。

 ところで、「成長力(の強化)」とは、東大経済学部の元秀才であったらしい白川総裁には不似合いな曖昧さをもった言葉だ。「成長力」とは、需要を指すのか、供給を指すか、あるいは両方を指すのか。常識的には、両方が拡大することを指すのだろうが、両方が拡大して、さて物価が上昇するものだろうか。物価は貨幣的な現象ではないのか。

 また、総裁が「金融緩和で支える」といった表現を使うように、金融緩和が物価や景気にそれなりの影響を与えるということなら、「金融政策の効果として」(単独で、あるいは、「成分」として)どういった影響力があるのか、無いのかを語ることが必要なのではないだろうか。

 金融政策は物価に影響を与える。そして、物価の変化や変化の期待は、景気にも影響を与える。だから、デフレから脱却すべく金融政策を最大限活用し、白川総裁が気にする「成長力」にもプラスの影響を与えようという因果関係を考えるのが普通の政策論のように思われるが、どうなのだろうか。

 物価も、あるいは金融政策の効果も、金融政策「だけ」で決まらない、と言いたいのかも知れない。たとえば、会見の中で、白川総裁は欧州債務問題について、「緊縮財政の影響を含め」という表現を使っている。財政が緊縮的になることが景気にマイナスだ(したがって、デフレ脱却に逆行する)と考えているのかも知れない。

 だとしたら、会見の中で消費税率引き上げについて質問をされた時に、「私どもとしては、近い時点での消費税率の引き上げは、デフレ脱却にとってマイナスの効果があると認識しています」とでも言うべきだったろう。

 そして、金融政策「も」物価に影響するということなら、どこまで何が出来るのかを率直に語り、実行すべきだろう。

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