企業・経営
「新製品の虚偽発表」「インド現地法人社長の自殺」ーー内部告発でつぎつぎに闇が明らかになる「損失隠し事件」発覚でも変わらないオリンパスの企業体質
〔PHOTO〕gettyimages

筆者 山口義正(経済ジャーナリスト)

 損失隠し事件の発覚を受けて社外から人材を受け入れて経営陣の一新を図り、新たな一歩を踏み出そうとしているオリンパス。第三者委員会で「経営の根幹が腐っていた」企業体質が本当に変わったかどうかが問われることになるが、果たしてどうだろう。

 社員からこれほど愛されなくなってしまった会社も珍しいのではないか。

 4月1日以降の人事が発表された3月中旬以降、われわれのもとにオリンパス社員たちから寄せられる内部告発のメールが急増している。筆者が月刊誌『FACTA』でオリンパス事件を報じた昨年夏よりも、かなり多い。

ジャイラスとの共同開発ではなかった

 一連の不正に関わっていた疑いのある部長や本部長クラスの幹部社員がこれまで同様厚遇されたり、昇格したりしているのを見て「オリンパスの体質は何も変わっていない」と訴えている内容のメールが多いが、製品出荷の法律違反や、一連の損失隠しとは別の不正を行ってきた幹部社員の実名をあげて告発する内容も少なくない。中には内部資料を添付して送ってくれる社員さえいる。

 これまでサイレント・マジョリティ(沈黙の多数派)だった社員たちが変わろうとしているのだ。彼らは経営陣や幹部社員を常に監視し、理非曲直を見極め、事があればすぐに内部告発者となってわれわれに内部情報を提供してくれるようになった。

 ひとつの企業体として、まとまりのある姿かどうかは別にしても、会社や上司の不正に憤りを感じていた社員が「何も変わっていない」「このままではオリンパスは生まれ変わることはできない」として声を上げ始めているのだ。これまでがひど過ぎた反動で、不満が一気に噴出しているのだろう。

 そして最近になって彼らが提供してくれた情報には、オリンパスが3月21日に発表した医療機器分野での新製品「サンダービート(THUNDERBEAT)」について「虚偽発表があった」との情報が含まれている。

 サンダービートは内視鏡外科手術で患部の切開・剥離、血管の封止、止血などを1本のメスで行える外科器具。患者の肉体的な負担を小さく抑える低侵襲治療に有効との触れ込みだ。

 問題なのは日本経済新聞や朝日新聞、読売新聞、ロイター通信などがこれを一斉に「ジャイラスとの共同開発」と報じたが、実際には共同開発ではなかったことである。

 オリンパスのニュースリリースにはこうした記述はなく、記者発表時のぶらさがり取材でオリンパスメディカルシステムズの斉藤吉毅・第2開発本部長がジャイラスとの共同開発と説明したという。

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