[サッカー]
酒井宏樹(柏レイソル)<前編>「自信が生み出す高速クロス」

 昨季、J1に復帰した柏レイソルは史上初めてJ2からの昇格1年目にJ1で優勝を成し遂げた。そんな歴史的快挙を達成した柏において、クラブ同様、急速なステップアップを果たした選手がいる。酒井宏樹、22歳。右サイドバック(SB)として27試合に出場し、チームトップタイの7アシストをあげた。また、ロンドン五輪出場権を獲得したU-23日本代表でも右SBとして主力を担い、昨年10月にはA代表にも初召集された。

 ユース時代から酒井は“黄金世代”のひとりとして期待されていた。2009年に柏ユースから工藤壮人らとともにトップチームへ昇格。1度に6選手がユースからトップチーム入りするのはクラブ史上初だった。ほかに島川俊郎(東京V)、指宿洋史(セビージャ)もユースの同期だ。しかし、酒井はプロの壁にぶち当たる。1年目の09年は、シーズンが始まってもベンチに入ることさえできない時期が続いた。

ブラジルでのコンバートがきっかけ

 転機になったのはブラジルへの短期留学だ。同年6月、酒井はブラジルのモジミリンECへ短期留学する。このモジミリンで、それまでプレーしていた左SBから、現在のポジションである右SBへコンバートされたのだ。
「コンバートを受け入れた理由は、利き足が右なので、右サイドのほうがプレーしやすいと考えていたからです。加えて、ブラジルでは利き足が右なら右サイド、左であれば左サイドに選手を置きたがる。なので、ブラジルで右SBへコンバートされたことは必然だったと思います」

 酒井は右SB転向の経緯をこう振り返る。さらに、モジミリンのスタッフからはセンターバック(CB)への挑戦も打診された。

「ずっとSBだったので、CBに少し抵抗感もありました。しかし、せっかく留学に来たのだから、挑戦してみようと思ったんです。ブラジルにはいろいろなタイプの選手がいました。そういう選手たちと対峙することで、CBでのプレーも意外に楽しめたんです。駆け引きや1対1の対応など、ディフェンダーとして成長できたと思いますね」

 サッカー王国・ブラジルでの4カ月間、レベルの高い選手にもまれた経験は大きかった。
「留学に行くということは、その期間チームを離れるので、レイソルの中での僕への評価はゼロになる。なので、留学から帰ってきた時は、とにかく自分のプレーを出すことに集中していましたね。そういう意味では、留学して一番変わったことは自分に自信を持てるようになったことだと思います。自信がないと自分のプレーは出せませんから」