藤巻幸大 第3回 「婦人服売り場の"呼び込み男"を一躍ファッション界の檜舞台に上げたコニー・ダローの教え」

撮影:立木義浩

第2回はこちらをご覧ください。

シマジ 伊勢丹に入社が決まったとき、藤巻さんはどこの売り場に行きたかったのですか。

藤巻 オモチャ売り場が第一志望だったんです。

シマジ たしかに会社に入ったはいいが、サラリーマンってなかなか希望の職場には行けないものだよね。

藤巻 そうですね。上智から入社したほかの連中は海外部門とか洒落た職場に配属されて、ぼくもオモチャ売り場なら面白いことが出来るかなって夢見ていたら、何をまちがったか、婦人服のバーゲンセールの売り場に配属されたんです。苛酷にも配属されたその日から呼び込みをやらされて、声はつぶれるは肉体はヘトヘトになるは大変でした。

 ところがそこに面白い先輩が3人いましてね、ひとりは中込俊彦さんといって、いま三越伊勢丹の専務です。もうひとりが中陽次さんっていいまして、いま常務で新宿店長です。3人目が横山淳さん、いま浦和の三越伊勢丹の店長で役員です。この3人が当時はめちゃくちゃでいい加減でして、いや、横山淳さんだけはまともでしたが(笑)、中さんはとにかくいっぱい買って在庫を残していました(笑)。

 幸か不幸か、ぼくの社会人の第1歩は、この3人の素敵な先輩にコキ使われるところからはじまったわけです。

「朝はだれよりも早く出社しろ。夜はだれよりも遅く帰れ」と言われましてね。ぼくは「よーし、コンチクショウ」って呼び込み芸に命をかけたんです。そうしたら少しずつ売れ出した。しゃべりも寄席に通ってワザを秘かに磨いていましたから、だんだん板についていったのでしょう。いろいろパフォーマンスもやりました。