真夏の「関電自爆テロ」だけが怖い。原発も日銀法改正の問題もガバナンスの方法を知っていれば解決できる

 関西電力・大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が争点になっている。政府は再稼働方針を決めたが、関西の自治体では、滋賀、京都の両知事や大阪市の橋下徹市長が、政府の再稼働判断は拙速だと批判している。

 マスコミは今年の夏の電力需給が危ないという。ちょっと前には、関電は、この夏は2010年並の猛暑がやってこれば、原発ゼロの場合に電力供給が25%不足として煽りたてていた。最近は、これはちょっとやりすぎということで、18%の電力不足という数字になっている。

 2010年度の関電の最大電力需要は同年8月19日午後3時に記録した3095万kWであった。電力供給は、その当時の2761万kW(他社受電などを除く)から大飯3、4号機分236万kWを引いた2525万kWから出てきている。

 2010年はまったく節電しなかった。需要は昨年夏のピーク2784万kWを考えたほうが現実的だろう。一方、供給については、2011年夏の発電能力をみると、水力820万kW、火力1691万kWで合計2510万kW。これはその後60万kWくらい増えている。もちろん、これらがフル稼働すえうわけでないのだが、他社からの受電も多少はある。しかも、650万kWといわれる自家発電がある。これらの稼働を高めれば、大飯3、4号機が稼働しなくても昨年並みは何とかなる方策はある。

電力供給を増やすための自由化に取り組まない政府

 電力のピークで危ないのは、夏の1~2週間の昼間数時間という可能性がある。昨年の実績で見ると、ほんとうに危険なのはそのうち数回程度だ。こうした場合に、他国でも行われているピークロード超過価格(これは需要減効果で需要対策になるし、自家発電アップの供給対策にもなる)、揚水発電活用などで対応ということを考えるべきではないか。それがあれば、今年の夏の電力不足は回避できるだろう。

 橋下市長のところでは、当然こうした方策は検討されているはずだし、それが、先般公表された8条件の前提になっているのだろう。(私は担当でないのであくまで外部者としての感想)

 ところが、関電の需給見通しはまだだし、政府もまともな安全対策や電力供給を増やす電力自由化をしていない。そもそも電力供給が不足しているのは、ミニ電力会社をはじめ、電力供給の新規参入に高いハードルを設けたままだからだ。例えば、コンバインドガスタービンの増設は、環境アセスに3年、許認可に3年、工事に半年など7年も要するといわれる。原発再稼働の前に、こういう規制の見直すべきである。

 政府の責務として橋下市長が突きつけた8条件のうち「使用済み核燃料の最終処理体制を確立し、その実現が見通せること」を行うのは当然としても、「原発から100キロ程度の広域の自治体同意を得て安全協定を締結すること」も当たり前だ。関西各府県で原発稼働の是非を決めることとして、地方分権したほうがいい。そうすれば、今の政府の決定に不満をもつ各自治体を含む受益を受ける電力消費地と現地との納得のいく話合いが行われたはずだ。もちろん、そのためには、電源三法交付金などの利権も地方譲渡になるが、そのほうが政府としても余計な仕事をしないで済む。

 民主党は中央集権指向が強すぎる。八ッ場ダムでも、関東各県に継続が中止の決定を任せればよかった。であれば、ダムでメリットを受ける東京都などとダムの現場である群馬県との間で国が決めるよりも合理的な決定ができる。それを従来の制度に固執して国(といっても実際にやっているのは国の出先機関)が出張るから、話が複雑になって、民主党としてはマニフェストを実行できないという惨めな結果になった。(なお、サンクコスト理論から中止は合理的だ)

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