自民党案を丸呑みすれば消費税増税は実現できるという首相の強気を支える「野田・谷垣極秘対談」の仕掛け人は誰だったのか
消費税増税関連法案の成立に意欲を見せる野田首相〔PHOTO〕gettyimages

 消費増税を巡り激しい応酬があった4月11日の党首討論(QT)の前日のことである。「私は谷垣(禎一自民党総裁)さんを敵だとは思っていない。先輩政治家としてリスペクト(尊敬)の念を持てる方だ」---。野田佳彦首相は内閣記者会のインタビューに応じて、そのように述べた。と同時に、「消費増税関連法案の今国会中の成立を期することが責任を果たす最低の条件だ」と語り、改めて会期延長による継続審議を行わない強気の姿勢を示した。

 党首討論でも谷垣氏が「政治生命を掛けるとおっしゃった。できなければ内閣総辞職か衆院解散の覚悟は?」と水を向けると、野田氏は「政治家として重い言葉だと強く自覚している。色々なシミュレーションはある」と答えた。

 ここで注目すべきは、野田氏の強気の「根拠」である。仮に民主党内で小沢一郎元代表ら反消費増税派が法案採決時に造反したとしても、消費増税関連法案を修正どころか自民党案を丸呑みすれば、谷垣自民党が賛成に回り可決・成立できると踏んでいるのではないか。

野田・谷垣を結びつけたのは誰か

 だからこそ、改めて2月25日の「野田・谷垣極秘会談」がクローズアップされる。焦点は、「両氏を結び付けたのはいったい誰だったのか」に尽きる。

 両氏の関係は、予想外のことだが、実は古くて長いものである。93年総選挙で日本新党から立候補・初当選を果たした野田氏が政治家になって最初にご馳走してもらった相手こそ谷垣氏であったというのだ。「リスペクト」する理由のひとつは、案外、そういった俗人的な出会いにあったのかもしれない。

 それはともかく、二人を仲介したのは、杉崎重光元国際通貨基金(IMF)副専務理事(現ゴールドマンサックス証券副会長)であるという信頼すべき情報がある。

 1964年入省の元大蔵官僚・杉崎氏の義父は故金子一平元蔵相(金子氏の3女が夫人)である。売上税導入を図った大平正芳内閣の蔵相であり、その蔵相秘書官を杉崎氏が務めた。

 そして自民党にあって池田勇人元首相が立ち上げた宏池会(旧池田派)の同志だったのが、農水官僚出身の谷垣専一元文相である。谷垣総裁の父親である。谷垣氏は現在、金子一平氏の長男・金子一義元国交相ともども野党自民党の宏池会(古賀派)に属している。

 そもそも宏池会は、大蔵省出身の池田勇人が創設、後に同じ大蔵OBの大平正芳が引き継ぎ、さらに時代を経て、これまた元大蔵官僚の宮澤喜一元首相が踏襲した伝統ある派閥だ。そして、大蔵省(現財務省)に隠然たる影響力を持つ党内主流派の位置を維持し続けた。いってみれば、すべて自民党一党支配の55年体制時のことだ。

 では、なぜ杉崎氏なのか?

 消費増税実現に「政治生命を掛ける」野田首相を全面支援する現在の財務省パワーハウスの中心にいるのが、いまメディアで取り上げられる勝栄二郎事務次官(75年入省)である。その勝氏が入省して配属されたのが主税局国際租税課。その当時の上司が同課長補佐だった杉崎氏なのだ。

 さらに言えば、谷垣氏が小泉純一郎政権下の財務相時代の大臣秘書官である星野次彦官房審議官(主税局担当・83年)は、杉崎官房審議官(国際金融局担当)当時の国際金融局為替資金課課長補佐であった(因みに、勝氏も同課課長を歴任している)。星野氏は消費増税関連法案を所管する古谷一之主税局長(78年)の下で、香川俊介官房長(79年)を司令塔とする財務省の対永田町工作チームの主要メンバーである。

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