経済の死角

テレビ『カンブリア宮殿』で大反響を呼んだ小池利和社長の「進化論」とは?
ブラザー工業はなぜ強いのか
直撃インタビュー

2012年04月16日(月) 週刊現代
週刊現代
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 多くの会社が苦境に喘ぐデフレ不況の中、成長を続けるブラザー工業。なぜ経営の大転換に成功したのか。今後のリーダーの条件は何か。多角化と家族主義を掲げるトップが熱く語る、珠玉の経営哲学。

会社を救った決断

---日本でブラザー工業と言えば「ミシン」のイメージが強いのですが、今や世界では一大情報機器メーカーとして有名です。

小池 5000億円の売上高のうち、すでに7割近くを情報機器が稼ぎ出していますからね。また、売上高の77%が海外でのビジネスで、6割が欧米の市場で上げたものです。

 欧米ではプリンターやファクス、複合機、電子文具など情報機器のメーカーとして広く認知されています。まだミシンの印象が残っている日本のユーザーの方には、ちょっと意外かもしれません。

---日本と世界のイメージの違いに、ブラザーの成長の理由がある、と。

小池 はい。'90年代後半以降、主力事業を情報機器に大きく転換してきたことが会社を救いました。創業事業のミシンも、相変わらず競争力があり重要ですが、主力に据えたままでは、確実に厳しい経営状況に追い込まれていたでしょう。

 グローバル化を進めていたため、大震災の影響もあまり受けませんでした。すでに海外生産比率が8割を超えていますから。

 社会で生き残る者は、身体が大きい者でも、強い者でもないんです。ダーウィンの説ではありませんが、いち早く変化に対応できる者のみが、次の時代もサバイバルできる。経営の進化論といったところですね。

 こう語るブラザー工業・小池利和社長(56歳)は、'55年愛知県生まれ。'79年、早大政経学部を卒業、同社に入社。'82年、米国の子会社ブラザーインターナショナル(USA)に出向し、'00年社長就任。米国のプリンター事業の拡大や南米の販売会社の再建を成功させる。'05年に帰国し、'07年ブラザー工業社長に就任。

 前期の連結売上高は5000億円を超え、利益率は7%と好調。これまで情報機器、工作機械、通信カラオケ・・・・・・と、「選択と集中」の時代にあえて多角化路線を続け、成功を収めた結果だ。

 小池社長は今年1月、トーク・ドキュメンタリー番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系列)に出演、信念を持った語り口は大きな反響を呼んだ。その考えは、書籍『「解」は己の中にあり 「ブラザー小池利和」の経営哲学60』(高井尚之著)に詳しく記されている。

---昔からビッグマウスと言われた小池さんですが、経営手法は大胆というより、細かく手堅い印象です。

小池 確かに私自身は、昔から大口を叩き、言いたいことを言うタイプでした。入社後に人事部長から、「僕が面接していたら、君なんか採用しなかった」と言われたくらい(笑)。

次ページ  でも、経営に関しては無手勝流…
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