野田政権はこの国を潰すつもりなのか?
統治の基本も政治技術も稚拙な民主党は、情報公開と現場第一主義の重要性を理解せよ

 民主党は野党のときには、政府の秘密主義を厳しく指弾し、情報公開を求めた。たとえば、私が厚生労働大臣だったときには、年金記録問題が大争点となり、民主党は社会保険庁(当時、現在は日本年金機構)に対して、数多くのデータを明らかにすることを要求した。

 私はその「圧力」を上手く利用して、社会保険庁が隠匿しようとする情報を引き出して、国民の前にさらすことができた。

 そして、年金記録問題解決へ向けて工程表を作成し、どれくらいのスピードで、また、どれくらいのコストで作業を進めることができるかを、定期的、ほとんど毎月のように国民に説明したものである。

 むろん民主党の要求の中には理不尽なものもあったが、私が気づいていない点を指摘してくれるなど、問題解決の一助となったことは確かである。

 いま振り返ってみれば、年金記録、薬害C型肝炎訴訟、新型インフルエンザなどの諸課題は、民主党などの野党とマスメディアが共同して政治争点にし、それに大臣としての私が対応して、一つ一つ解決していったものである。表面上は政府と野党が対決しているように見えても、結果的にはマスコミも加わっての共同作業が成功し、問題解決につながったと言ってもよかろう。

 ところが、政権に就いた民主党は、与党としての立ち居振る舞いが全くできていない。
野党の役割は果たせても、政権党としての仕事ができていないのが、今の民主党の問題であり、それが国民の政治不信を増幅させている。

 繰り返されるマニフェスト違反は論外だとしても、統治の基本ができていないし、政治技術も稚拙である。高校生のクラス会のような雰囲気で国政に当たってもらっては、この国は潰れてしまう。

情報は信頼性が命

 なぜ民主党政権は、失策を積み重ねていくのか。民主党は、それを「ねじれ国会」のせいにしたがるが、それは基本的に間違っている。私が大臣を務めた自公政権の安倍、福田、麻生内閣においても「ねじれ国会」だったのであり、確かに政策遂行には多少の妨げにはなったが、政治課題の解決が等閑になったわけではない。

 民主党政権が理解していないのは、統治の基本は情報公開と現場第一主義だということである。私が厚生労働大臣として、次から次へと襲いかかってくる難問に対応できたのは、まさにこの基本に忠実だったからである。厚労省の持っている情報は、人権侵害となるようなものを除いて、基本的には全部公開する方針を採った。そして、現場の声に耳を傾け、実務経験者の意見を前提にして政策を練り上げていった。

 たとえば年金記録問題では、社労士など現場で作業する専門家の経験を尊重した。なぜ紙台帳とそれを移したはずのコンピューター上の年金記録に齟齬が生じるのか、なぜこの世に存在しない人が年金記録上は存在するのかなどの疑問には、現場が分かっていなければ、答えることはできないのである。

 情報公開と現場第一主義が統治の基本だということは、新型インフルエンザのときにも再認識させられた。国民をパニックにさせないためには、すべての情報を公開する、そして、それを大臣自らが行うという原則を徹底的に貫いた。

 情報公開は、権限が上の者が行うほど信頼性を持つ。課長よりも局長、局長よりも大臣である。また、永田町の政治家や霞が関の官僚よりも、現場の第一線で活動する医師のほうが新型インフルエンザの特色をよくつかみ、適切な対応ができた。そのような教訓が活かされていないのが、今回政府が提出した新型インフルエンザ等対策特措法である。

 民主党政権は、東日本大震災への対応に典型的なように、情報公開にも熱心ではないし、また現場の声を尊重していない。福島第一原発の事故に際して、当時の菅首相の対応は、周知のように、まさに情報公開にも現場第一主義にももとるものであった。

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