先週の橋下徹大阪市長の行動に日本中が振り回された。4月4日、石原慎太郎東京都知事がわざわざ大阪に行って橋下市長と会談した。両者ともに、内容は語っていないが、マスコミは内容を探ろうと必死だ。さしで会っているはずなので、その中身はどちらかがばらさない限りもれることはない。
今、どんな政治家にとっても橋下氏の動向は気になるだろう。誰に聞いても、橋本氏と近いことをアピールするひとばかりだ。
そんな中で、6日、私は大阪市の特別顧問に就任した。特別顧問というが、私以外にも数多くいる。私に対しては、総務省(2005年から2006年まで竹中平蔵総務大臣補佐官)時代の経験に基づく専門知識を生かしてもらいたいとのことだ。
橋下市長はいつも話題の中心にいるので、こっちもその余波を受けるが、もちろん、私は専門知識を生かすだけで政治的にはまったく無関係だ。なお、大阪維新政治塾の講師もやるが、こちらはどんな政党に対しても行う通常の講演である。
橋下市長は政局的な動きも派手であるが、政策面でもいろいろと話題を振りまいている。知り合いの閣僚経験者から、橋下市長の発言で困ったといってきた。
それは、6日の朝日新聞社説への反論をtwitterでつぶやいたことだった。
「4月6日朝日新聞社説。消費増税と政治「言い訳やめて、本質論を」。良い社説だ。朝日新聞始めメディアの消費税増税論の矛盾を全て暴きだしている。まさに朝日はじめ大手メディアよ。今こそ、消費税増税論の本質について考え直して欲しい。」
から始まった。
その中で、こう書いている。
「消費税を社会保障目的税としている国などない。それは何故か。消費税は所得の再分配に使う税ではないからだ。所得の再分配に使う税は、まさに所得税(法人税を含む)。稼いだ人から、稼ぎの少ない人への再分配。消費税で所得の再分配をしようとするから、逆進性が問題になり低所得者対策の話になる。」
まったく正論だ。こんな正論を政治家に言われては、役所の御用学者は面目がないだろう。この正論は、かつて財務省も主張していた伝統的な正統理論だ。
ところが、小沢一郎氏が自由党で勢力のあったころ、財務省は社会保障を人質にとって消費税引き上げをもくろみ、彼に消費税の社会保障目的税化を言わせた。それ以来、税の正統理論を捨てて、消費税率引き上げだけを目的として、社会保障目的税化を財務省は言ってきた。
マスコミは本質的な議論ができず、財務省の「口パク」なので、いつしか消費税の社会保障目的税化は当たり前と思い込むようになった。