佐々木俊尚「ブレイクスルーな人たち」
2012年06月02日(土) 佐々木 俊尚

佐々木俊尚×田原総一朗×80年代生まれの若者4人第五回「『弱者のノマド論』とムラ社会崩壊後の社会保障」

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第四回はこちらをご覧ください。

弱者にとってのノマド論

佐々木: 弱者にとっての新しい時代の生き方というのを、もう一回考えなければいけないな、という気持ちがすごくあります。この前ノマド論みたいなものをFacebook上で議論していたら、ある女性が「弱者のノマド論みたいなものがあってもいいんじゃないか」と言っていて、どうしてもノマド論というのは強い人じゃないと生きていけない、というのがありました。

 昔はジャック・アタリというフランスの人が「ハイパーノマド」と言っていて、外資系の銀行にいるトレーダーとか、スティーブ・ジョブズみたいなスーパープログラマみたいな人だけしか世の中を生きていけなくなる、というようなことを書いていました。

 たしかにそれだけを見ると強者しか生き残れないというイメージになってしまうんですが、一方である女性が紹介していた弱者のノマドというのは、たとえばレジ打ちがうまい人がいたとして、これまでの企業だったらそれしか仕事ができないからダメな人だと思われているんだけれど、今はレジ打ちがうまいと、その情報がネット上でつながることによってFacebookで広まると、そうすると他の会社から「ウチにも来てください」と次々に呼ばれる、そうすると自分の空いた時間だけ仕事ができるわけですね。

 子どもがいるお母さんが、今までだったらパートに出るしかなかったのが、何かスペシャルな技能を持っていれば空いている時間をうまくネット上でマッチングさせることによって、決して弱者としてではなく、持っている才能をより最適化して生きていける可能性が出てくる。

 そういう意味でノマド的な議論というのは、決して強者だけの話ではなく弱者も包摂し得るようになってくる。だから、今までのようなわれわれがイメージする「強い人・弱い人」というものとは別の形の「強い・弱い」という概念が出てくる可能性は多分あるんじゃないかと思います。

田原: だけどね、皮肉を言うわけじゃないけれど、今日のこの4人は強者のくせに弱者のフリをしているんじゃないかな?

佐々木: 鋭いですね(笑)。さすがはすべてをひっくり返す田原総一朗です。

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