ライフ
佐々木俊尚×田原総一朗×80年代生まれの若者4人第四回「そして国家はどう変わるのか」

第三回はこちらをご覧ください。

田原: もう一つ、質問させてください。AIJの失敗は結局、基本的にはレバレッジですよね。つまり100万円しかないお金で、2億円、3億円の商売ができるようになって、結局それを全部すっちゃった。たとえばアメリカのリーマンブラザースが倒産した辺から、世界で「あいつらは欲が深すぎる。金儲けのことしか考えていない」という声が強まった。こういう批判と社会企業みたいなものは関係があるんですかね? あまり関係がないのかな?

慎: どうなんですかね。どのくらい関係があるかはわからないですが。

いまおきているのは健全なバブル

西田: 僕は関係ないと思います。今社会的企業が盛んに採り上げられているのは、一種の健全なバブルのようなもので、それはどういうことかと言うと、今年の1月1日の日経MJ(流通新聞)の特集が「社会貢献とマーケティング」というものだったんです。これは大きな特集で、一面と裏面と中3枚くらいで、大規模な特集だったんですね。そのなかで、元々活動していた社会的企業、NPOという呼び方でもいいと思うんですが、そういうふうに地道に活動していた人たちが急にクローズアップされるようになった、と言っています。

 これがなぜ健全なバブルであると思うかというと、お金の流れ自体はさほど増えているわけではないからですね。たとえば誰かが投資をしてお金の流れが急に増えたというわけではなくて、まあ東日本大震災関連の寄付は一時期増えたんですが、全般的には増えたわけではないので、社会の注目が集まったことによるバブルです。ですから、割合害が少ないかな、と思います。

慎: その注目ということに関して言うと、おそらく強欲だとか言っている声のアンチテーゼとして出てきたということはあると思います。ただ、実際動いている人は前からやっている人だと思います。何だか僕が金融機関代表みたいな形になってきていますが(笑)。

田原: 大和証券なんかを見ているとそんな感じがあるなあ。

慎: 私の勝手な意見ですけれど、大和証券の担当の方々はけっこう真剣に考えている。あそこの山本聡さんは留学中に「これはいい」と思った仕組みがあって、ソーシャルな投資がやりたいとは思ったものの、会社でやるにはどうしたらいいか、ということを一生懸命考えていて、自分で部署なども作ったりしている。そういうふうに企業内で何かおもしろいことをやってみようと思っている人も増えている感じはしますね。

田原: 僕は山本さんと何度も会っているけど、大和証券の常務や専務は山本さんの言っていることをまったくわかってはいないんですよね。上司はまったくわかっていないけど、「多分山本がやってるんだからいいんじゃないか?」という感じなんだろうね。そこが割合おもしろいと思うんですよ。

慎: そういう上司がいたらいいですよ。とにかく、「よくわかっていないけれどやってみろ」という人が上にいると、若い人は楽に動けるので。今の勤め先もそんな感じで、「よくわからないけれど、おまえやってみろ」というような感じで、そういうところはすごく働きやすいですし、ずっと働いていたいなと思うんです。

田原: その点が博報堂はダメなんだね。

高木: いやいやいや、そんなことはないですよ、あの会社は良かったんです(笑)。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら