町田徹「ニュースの深層」
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明暗! 最悪事故の「福島」と避難所「女川」
復興に不可欠な「東通」のルーツを現地取材

2012年04月03日(火) 町田 徹
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「東北電力」HPより

 最悪の原発事故を起こした東京電力の福島第1原子力発電所と同様に東日本大震災に襲われながら、深刻な事故を招かなかったばかりか、3ヵ月にわたって364人の被災者の避難所の役割を果たした強固な原発がある。

 宮城県の牡鹿半島にある東北電力の女川原子力発電所だ。

 現地視察も含めて取材したところ、女川原発が無事だった背景には、過剰と思われた基本設計に安住することなく、事故防止の努力を積み重ねてきた事実があったことや、原発を十把一絡げにして福島第一並みに危険と決め付けることの不条理が浮かび上がってきた。

 原発の運転凍結が続く中で、政府はこのところ、強引に、大飯原発(福井県)や伊方原発(愛媛県)の運転を再開しようと躍起だ。

 しかし、電力の安定供給というフィルターをかけると、本当に深刻なのは東日本大震災と昨年7月の新潟・福島集中豪雨のダブルパンチを浴びた「被災地・東北」である。現状では、東北が今夏、突発的な大規模停電に襲われない保証はない。そういう停電が起きれば、それは人災だ。

 もし、我々が、電力不足という人災を防ぐため、例外かつ緊急的に1つだけ、原発の運転再開を認めざるを得ないとしたら、それは地元の懸念を払しょくできない大飯や伊方ではなく、強固な女川原発にルーツを持つ東北電力の最新型原発である東通原発ではないだろうか。

 福島第一が不気味な煙を出して放射性物質を撒き散らしていた1年前、筆者は、にわかには信じ難い情報を耳にした。それは電力各社にも太い人脈を持つ通信技術のプロから寄せられたもので、「同じ原発でも、女川は、福島第一とまったく状況が違ったらしい。非常用電源を失うことなく、安全が守られ、関連施設のボヤ程度で済んだらしい。草創期に安全にうるさい頑固者の技術者が強硬に主張して、高いコストを払って約15mもある高台に建設しておいたのが効を奏したようだ」という内容だった。

次ページ  それ以来、筆者は、なんとかし…
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