企業・経営
シャープと鴻海(ホンハイ)の提携は日本電機メーカーが"世界的渦"にのまれてゆく先触れなのか?

シャープ奥田隆司社長〔PHOTO〕gettyimages

 3月27日、2012年3月期に約2900億円の赤字決算となるシャープは、世界最大のEMS(電子機器受託サービス)である鴻海(ホンハイ)精密工業との業務提携を発表した。このニュースを見て最初に頭に浮かんだことは、経営不振に陥るわが国の電機メーカーが、世界的な企業同士の合従連衡の渦の中に巻き込まれたという印象だ。

 最近まで液晶関連事業に経営の軸足を置いてきたシャープにとって、薄型テレビの値崩れはかなり厳しい要素だった。多額の損失発生によって経営状況の悪化が懸念され、今後、同社は生き残りをかけて財務体質を立て直すことが急務となった。

 そこに手を差し伸べたのが、元々は台湾企業ながら、現在では世界で100万人を超える従業員を抱える世界有数のITメーカーである鴻海精密工業だった。同社は、アップルとの関係が親密で、中国の子会社・フォックスコンでは、アイフォンやアイパッドなどアップルの主力商品を大規模に生産・供給し、事業を飛躍的に拡大している。

提携が意味するもの

 今回、鴻海はシャープ本体に669億円を投じて株式を取得し、議決権の約10%を握る筆頭株主になる。同時に同社の郭台銘(テリー・ゴウ)会長個人が、シャープの堺工場を運営するシャープ・ディスプレイ・プロダクトの株式46.48%を660億円で取得し、同工場をシャープと鴻海が共同運営することになる。

 これによってシャープは、合計約1300億円の現金を手に入れると同時に、堺工場で生産される液晶の半分を鴻海に販売することになり、同工場の操業率は大きく上昇することになる。経営悪化に苦しむシャープにとって、必要不可欠な救済になる一方、これからアップルテレビの受注を受けたい鴻海にとっては、シャープの堺工場という優秀な液晶生産拠点を手に入れるメリットがある。

 そうした両者の動きを、一歩下がって世界レベルの視点で見ると、液晶に高い技術を持つシャープが、経営悪化の窮地から逃れるために、アップルのサプライチェーンの中に組み込まれる構図が浮かび上がってくる。

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