政局
野田政権に忠誠を尽くす輿石東が小沢一郎に刃を向けるとき

 国会の2階にある民主党幹事長室の隣の部屋に、幹事長代理・鈴木克昌、筆頭副幹事長・松井孝治、樋高剛ら3人いる総括副幹事長の机5つが置かれている。元代表・小沢一郎が幹事長時代、副幹事長のたまり場になっていた部屋だ。

 輿石東は就任後、大幅な模様替えを行い、幹事長代行・樽床伸二を自分と同じ幹事長室に入れ、鈴木らには他の副幹事長16人とまったく異なる待遇を与えた。

 その輿石の配慮を裏切るかのように、小沢側近の鈴木と樋高が消費増税法案の閣議決定に反発して辞表を提出した。

 政府が提出する消費増税法案の党内論議がスタートした3月14日、小沢側近は「閣議決定の時に、何人か動くかもしれない」と語っていた。この時は数人止まりで意思表示に重点が置かれ、主戦場はあくまで「消費増税法案の衆院本会議採決時」という話だった。

 しかし、30日に消費増税法案が閣議決定されると、政府側では総務副大臣・黄川田徹、文部科学副大臣・森ゆうこ、厚生労働副大臣・牧義夫、総務政務官・主浜了、党側では鈴木、樋高のほか、政調副会長の階猛、中村哲治、松崎哲久、横山北斗らが相次いで辞表を提出。政調会長補佐クラスを加えると、役職辞任者は20人以上に上るとみられている。

 なぜ、これほど役職辞任者が膨れあがったのか。小沢側近は「小沢さん自身は一切、指示をしていない。個々の議員の判断」と説明するが、彼らの行動が小沢の意思と無縁であるはずがない。

深まる溝

 党幹部はその理由を2つ挙げる。ひとつは輿石に対する不信だ。輿石と小沢は2月16日、元首相・鳩山由紀夫を交えて会っている。一見良好に見えたが、輿石は消費増税法案の扱いでは、3月中に決定するという野田にカジを切った。

 輿石は「総理は消費増税にのめり込んでいる」と語り、野田への疑念を呈していた時期もあった。しかし、日教組出身の輿石は基本的に「組織の人」。トップへの忠誠心は強い。だが、その分、消費増税反対を貫く小沢とは離れた。

 もうひとつの理由は、資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた小沢に対する、今月26日の東京地裁判決だ。判決がクロかシロか―。首相官邸も民主党内も強い関心を寄せるが、「いくら調べても分からない。有罪、無罪は五分五分だ」(官邸関係者)と言われている。

 小沢は無罪を確信している。だが、確証があるわけではなく、確信しようとすればするほど不安も膨らむ。このため、「最悪の事態を想定して、内部を固めておきたかったのだろう。今、役職辞任をさせておけば、有罪判決が出たからといって、もう戻れない」(党幹部)というわけだ。

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