[プロ野球]
広島・弦本悠希「新フォームで勝負!」

アイランドリーグ出身NPB選手は今 Vol.4

デビュー登板、そして2軍落ち

 2011年6月1日、クリネックススタジアム宮城。東北楽天-広島。楽天3点リードの8回裏、ルーキーの弦本悠希は緊張の初登板を迎えていた。
「次の回、いくぞ!」

 コーチの声を聞いてからブルペンでもう80球ほど投げていた。いつもなら10球未満で肩をつくるが、投げなくては落ち着いていられない状況だったのだ。しかもマウンドに上がると最初に顔を合わせたのは、楽天の4番・山崎武司(現中日)。この試合、2安打2打点をあげていた。

 ただ、出番が来るまで投げ続けていたおかげでムダな肩の力が抜けた。一発のある怖いバッターをアウトコースのストレートで詰まらせ、内野ゴロに打ち取った。これで自分のペースをつかんだ弦本は、このイニングを無安打無失点に抑える。まずまずのデビュー登板だった。

 2日後にはマツダスタジアムにも初お目見え。5回の1死2、3塁のピンチを切り抜けた。
「ウイニングショットのフォークも追い込めばいいところへ落とせる。1軍でも充分通用すると感じました」

 しかし連続して無失点に抑えたことで、弦本は更なる結果を出そうと考えすぎてしまう。走者を一塁に釘付けにすべく、より早いクイックで投げたりした。取り組み自体は決して悪いことではない。だが、それは試合のマウンドではなく、まず練習で身につけるべきテクニックだった。

「それでフォームを乱してしまいましたね。試合は自分のフォームと勝負するのではなく、相手と勝負する場。それなのに自分のフォームで精一杯で、打者に向かっていく姿勢がなくなっていました」

 6月6日の福岡ソフトバンク戦はワンアウトしかとれず、押し出し含む3四球を与えて1失点。11日の千葉ロッテ戦は四球や守りの乱れもあって3失点。直後に2軍降格が告げられ、弦本の1年目の1軍成績は4試合、防御率4.50に終わった。
「2軍に落とされて、また一段と1軍で投げたいという気持ちがガッと出てきました。あそこで投げないと意味がない」