経済の死角

特別読み物 巨大エレクトロニクス産業の興亡 パナソニック シャープ ソニー 日立 東芝「失敗」の研究「選択と集中の罠」 
にハマった経営者たち

2012年04月05日(木) 週刊現代
週刊現代
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 昔はほしいけど買えない家電がたくさんあった。でももう、日本人はほとんどのものを手に入れてしまった。売れないものに「選択と集中」をした結果、かつての基幹産業は瀕死の状態に陥っている。

討ち死にした3人の経営者

 パナソニック7800億円、ソニー2200億円、シャープ2900億円。この3月期決算で各社が計上する純損失だ。同時に3社とも社長交代、事実上の現社長更迭を発表した。

 巨額の赤字を垂れ流し、3社は生きるか死ぬか、まさにその岐路に立たされている。そして新社長は生き残りをかけた舵取りを求められることになる。

 だが、その前に。

 なぜ瀕死の状態になるまで手が打てなかったのか。どのタイミングで、誰が、何を間違えたのか。

「失敗の研究」を尽くさなければ、失敗を繰り返すことになる。そうすれば今度こそ、息の根が止まる。

「'08年のリーマンショック後、電機メーカー各社は一斉に赤字に転落したわけですが、その時点でスピードある判断をできなかった経営者が失敗した。それはパナソニックの大坪文雄社長であり、シャープの片山幹雄社長であり、ソニーのストリンガーでした。

 そして、失敗の『原因』というより『象徴』と言えるのが、パナソニックの尼崎第3工場であり、シャープの亀山工場の閉鎖です」(日立製作所を経てサムスンに10年間常務として勤めた吉川良三氏)

 経営者たちが一様に陥ったもの、それが「選択と集中」という名の罠だった。

 パナソニックは大坪社長の前、中村邦夫社長時代の'00年、薄型テレビにプラズマを採用する方針を大々的にブチ上げた。

「プラズマはわれわれの顔だ」

 そう語る中村氏のこだわりとは裏腹に、'05年までにはプラズマという技術の敗北はすでに見えていた。

「中村さんが社長時代に鶴の一声で決めた『選択と集中』路線を、大坪さんは忠実に踏襲しただけだった。中村会長が人事権を掌握していて、事実上の院政を敷いていましたからね。

 '06年頃、プラズマテレビ市場のシェアトップの座を韓国のLGに奪われた。再びトップの座を奪還する、それだけでなくプラズマパネル市場でもLGを叩き潰す。そのための設備増強に走ったんです」

 そう語るのは40代でチームリーダーを務めるパナソニック現役社員だ。さらにこう続ける。

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