2012.03.30(Fri) 山田 まさる

目に見えない放射能を目に見えるようにするーー自主検査で検出下限値以下の「福島の米」だけを取り扱う「むらせ」の取り組み

筆者プロフィール&コラム概要

文:山田 まさる

 大正15年創業、日本を代表する米穀卸・精米メーカーである株式会社むらせ(以下、むらせ)が、放射性物質に対する自主検査の強化に踏み切ることを決定したのは、昨年の2011年11月であったという。秋に収穫された23年度産の福島県産米に対する市場の反応の厳しさからだった。

東北むらせ事務所前(村瀬常務)

 震災以前は年間25,000tの販売量であった「福島米」の23年度産の予想は例年の半分以下の12,000t程度になる見込みだと言う。

 元々、むらせと福島県産米のつながりは深い。むらせの扱う米は年間180,000t、その中で福島県産米は25,000tで、13.9%にとどまる。但し、会津若松に精米工場を持ち、グループ会社東北むらせの事務所を郡山に構えるむらせは、全国でもっとも福島県産米を販売する会社である。

 販売量を確保したいのは、それが福島県の農家とのつながりや福島県産ブランドを守ることにつながるからである。

 3月11日郡山で震災に遭遇し、いま、プロジェクトを推進する村瀬 慶太郎常務にお話を聞いた。

自主検査した米を大手量販店でも取り扱い

「いまから思えば、あの日、出張で福島(現地)にいたことは大いに意味があったと思っています。この1年、様々な場面で福島と東京との温度差を感じます。震災当日から福島で体験したことが、私が福島の農家の方々と一緒に復興を目指す原動力になっていると思います。」

 今回、むらせが新しく取り組む自主検査は、3段階+第3者による調査で、基本、自社基準のND(検出下限値を下回る)米だけを出荷するもので、詳細はロット毎にネット上で確認できるようになっている。3月1日から「むらせの福島米」として売り出している。イトーヨーカ堂などの大手量販店でも取り扱われ、滑り出しは好調だと言う。

 むらせが今回、取り組む自主検査企画を紹介すると、

 まず、1.精米工場受け入れ検査を実施。

 産地から米が入荷される段階で、Nai(Ti)シンチレーションサーベイメーター(ルドラム社製:Model3)による空間放射線量と検査対象物(入荷原料玄米)との差をμSvで読み取ります。トラックの荷台に積まれた状態で、荷台の前・中・後の3点を抽出し、スクリーニング検査を実施します。まず、空間放射線量同等か以下であることを確認する。万が一、この段階で空間放射線量以上の反応があれば「要注意」となるわけだ。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

(やまだ・まさる)株式会社インテグレート取締役COO。早稲田大学第一文学部卒。PRプロフェッショナル。
2005年「ファイバー・デトックス」キャンペーンで日本PRアワードグランプリ・キャンペーン部門賞を受賞。2007年 藤田康人とともにインテグレートを設立、取締役COOに就任。2008年「魚鱗癬」啓発活動で同・日常広報部門最優秀賞受賞。 2010年「ワコール エイジングケア啓発プロジェクト~日本人女性の下着選びの意識を変えたIMC戦略~」が同・マーケティング・コミュニケーション部門最優秀賞受賞。


@福島

福島県から、福島の、そして日本の未来を考える。ときには東京からも情報を発信します。