消費増税「未明の決定」にいたる8日間の攻防。「停止条件」は受け入れられなかったが、「増税の前提となる経済状況の好転」についてはこれからも訴えていく

 
3月27日夕刻からの消費増税法案審議は、日付を超えての28日午前2時半、前原政調会長への一任取り付けで幕を閉じた。8日間およそ45時間に及ぶ党内審議は、非常に丁寧かつ真摯な議論が行われてきており、巷間言われるような「混乱」あるいは「決められない政治」とはまったく異質のものであった。

しかし、かつてのないほどの丁寧な議論が積み重ねられてきただけに、あともう1~2時間猶予はなかったかと思えてならない。政調会長への一任は、審査終局の方法としては至極当たり前の方法だと思うが、あと一歩の「タメ」を持てなかったか。会議終了後の怒号飛び交うありさまを見るにつけ、ここまで必死に丁寧な営みを行ってきた政調だけに残念で仕方がないと思うのである。

焦点となった増税による景気減速の懸念

 27日19時半からの会議は2時間弱でいったん休憩となり、韓国から帰国したばかりの野田総理、岡田副総理、輿石幹事長、前原政調会長の官邸での4者により修文の協議がなされた。回答が用意され22時20分再開。提示された修正案は、読み通り附則18条。さらなる増税規定の28条は、あっさり取り下げとなった。そして議論の焦点だった18条の「経済状況の好転」を判断する「数値目標」は入るかどうかに注目が集まったが、示された修正案の第1項には名目3%、実質2%の数値が記されていた。

修正案の第1項の規定には「経済の活性化に向けて、名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度」と新成長戦略の表記とほぼ同等の記載があった。明確な条件としての規定ではないが、少なくとも政府の「意思」を示す数値は法案に盛り込まれていた。続いて2項にはいわゆる停止条件がどう明記されているかだが、ここは予想通り、増税の「施行の停止を含め所要の措置を講ずる」とされたままだった。

消費税増税に対して政府の明確なデフレ脱却に結び付く経済好転の決意を示したうえで、それが実現できない場合には施行しないという政府の市場、消費者、国民に対する明確な意思表示が理解されないリスクを含んだままの法案ともいえる内容のものだった。

振り返るとこの8日間の会議で与党内での議論は、弾力条項については数値目標の設定と同時にその達成の見込みも含めて総合的に勘案するという、政府の裁量もある程度許容しつつも停止条項としてのトリガーもビルトインされた案文に傾きつつあったと実感している。この合同会議に提示してきた議員有志で構成する「円高・欧州危機等対応研究会」で取りまとめた案そのものがフロントランナーとなり、そうした議論をリードしたのは研究会の1期生メンバーたちであった。

当初あった、経済状況の見通しそのものを論じるモデル試算の議論についても真摯に取り組みながらやってきた。こうした多少、詳細な部分にも触れておきたい。


議論の前提として、内閣府による経済見通し「経済財政の中長期試算」に対して増税慎重派から数々の懸念が示された。その多くは、消費税増税によって引き起こされる景気減速へのインパクトが小さすぎるのではないか、という指摘であった。そこで、その懸念を払しょくするために要求されたのが、民間シンクタンクなどの中期予測と称される民間モデル試算の結果だった。

翌日、会議で提示された民間モデルは、大和総研、三菱総合研究所、日本経済研究センター、DEMIOSの4種類。このうち、大和総研、三菱総研、日経センターの3つは、いずれも内閣府のモデルとほぼ同様の考え方で予測を行っていると考えられる。その他の電力中央研究所、日経NEEDSなどの試算は、社会保障・税一体改革を反映した政策シミュレーションが含まれていない、あるいは公表されていないなどの理由で含まれていなかった。

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