[プロ野球]
巨人・岸敬祐「左のスペシャリストへ」

アイランドリーグ出身NPB選手は今 Vol.2

原監督からの激励

 ルーキーイヤーの昨シーズン、滑り出しは順調だった。キャンプでのアピールに成功すると、育成選手が主体となる“第2の2軍”ではなく、1軍昇格を前提とした2軍で開幕を迎えた。

 3月25日の初登板(ジャイアンツ球場、東北楽天戦)では7回、1死2塁のピンチでマウンドへ。左打者2人をきっちり抑え、直後に味方が勝ち越したため、早速、“初勝利”を手にした。
「今のジャイアンツには左投手が不足している。左を確実に抑えたらチャンスはある」

 原辰徳監督からは直接、声をかけられた。1軍が開幕前でジャイアンツ球場で調整をしていたため、目に留まったのだ。その後も8試合連続でリリーフ登板して無失点。支配下登録の可能性もささやかれるようになっていた。

 だが、プロはそんなに甘くない。結果を残せば残すほど、徐々に結果に縛られるようになってくる。「失点してはいけない」と気持ちが消極的になり、5月に入るとリリーフ失敗が続いた。待っていたのは“第2の2軍”降格。それは支配下登録、そして1軍への道が遠のいたことを意味した。

 折れそうになった心を支えたのが2人の兄、健太郎さんと靖悟さんだ。健太郎さんは福岡ソフトバンクの打撃投手を務めている。靖悟さんも大学時代までは内野手でプレーしていた。特に2番目の兄、靖悟さんは事あるごとに連絡をとり、叱咤激励してくれた。

「“覇気を出せ”“オマエは何を目指しているんだ”と言われました。高い志を持って巨人に入ったはずなのに、実際にシーズンが始まると目の前の結果ばかり追いかけている自分がいた。常に高みを目指して頑張ろうと思い直させてくれました」

 第2の2軍での2カ月間、岸は自分自身と向き合った。メンタル面のみならずフィジカル面も再度、鍛え直した。
「2軍で投げている時は、どうしても登板に合わせての調整が中心になって、体のキレが悪くなったのを感じていました。やはり1年間、いいパフォーマンスで投げられる体力が必要だと痛感しました」