川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」

緑の党は向かうところ敵なし!
ドイツの政治を揺らがす「核廃棄物スキャンダル」

「フクシマ」の影響はヨーロッパの政治にも

2011年04月29日(金) 川口マーン惠美
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〔PHOTO〕gettyimages

 ドイツの北部、ニーダーザクセン州のアッセというところに、岩塩の廃坑がある。第一次世界大戦前まで採掘されていたこの地下の巨大な廃坑跡に、1967年から78年のあいだ、核廃棄物が大量に投げ込まれた。微量から中量の放射性物質を発生する廃棄物だ。どのくらいの量が投げ込まれたかというと、ドラム缶で12万6000個だそうだ。

 当時の大義名分は、"廃坑の塩分が核廃棄物に対してどのような影響を及ぼすかを研究する"というものだったが、早い話が"臭いものに蓋"。その証拠に、ここには核廃棄物のほかにも、殺虫剤、汚染された動物の死骸、ヒ素、鉛など、どこに捨てていいかわからないさまざまな厄介物が持ち込まれた。しかし、地下725メートルという場所であったため、市民の目に触れることも、話題になることもなく、こうして30年が経過した。

 問題が浮上したのは2008年のことだ。まずは、ドラム缶の貯蔵場所となっている坑内が崩壊しかけている可能性が指摘された。また、ドラム缶が今やどういう状態になっているかもわからない。規則に反して、液体状の廃棄物も貯蔵されていることがわかった。

 また、9キロ貯蔵されているといわれていたプルトニウムは、実は28キロであることも明らかになった。しかも、坑内には地下水が浸み出しているらしい。それも、塩分の高い地下水だ。これによって、いずれドラム缶が侵食し始めるなら、この一帯の地下水が大々的に放射能汚染される恐れがある。というか、すでにそれは始まっているかもしれない。

 事態を重く見た連邦放射能対策庁は、アッセのドラム缶を地上に回収することを決定し、2010年の初め、調査のためのボーリングを開始した。まずは、12ヵ所の横坑の状態、そして、放射能漏れの有無を把握しなくてはいけない。

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