町田徹「ニュースの深層」
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国立公園での地熱発電開発に光明!
頑固な環境省を方針転換させた"強力包囲網"

2012年03月27日(火) 町田 徹
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 ようやく山が動き始めた---。

 先々週、本コラムで環境省に対して再考を促した国立公園と国定公園の地熱発電所の建設規制(「羊頭狗肉の規制緩和 地熱発電を阻む環境省のレンジャー魂」)について、政府の行政刷新会議や国家戦略室のエネルギー・環境会議、経済産業省・資源エネルギー庁の3者がそれぞれ、頑なだった環境省から譲歩を引き出すことに成功したという。

 肝心の環境省がまだ新方針を盛り込んだ通知を公表しておらず断定するのは危険だが、世論を無視して省益の追及を優先する官僚が多い中で、今回、環境省が世論の高まりに真摯に耳を傾けたのだとすれば、おおいに評価に値するできごとだ。

 今回のいくつかの合意が、2001年に稼働した八丈島発電所を最後に、13年間にわたって発電所新設が凍結されてきた地熱発電の建設の再開や、原子力発電偏重だったエネルギー構造の転換に繋がるかどうか、筆者も国民の1人として引き続き注意深く見守っていきたい。

 初めて本コラムを読む人のために記しておくと、地熱発電は、地中深くに溜まっている蒸気を取り出して発電する技術だ。他の再生可能エネルギーを用いた発電と比べて圧倒的に稼働率が高いことが特色。平均稼働率は、太陽光が12%、風力が20%程度にとどまっているのに対し、地熱のそれは70%となっている。稼働率の高さは、発電コストを低く抑えるうえで有利というメリットにも繋がる。

 こうした長所は、地熱発電が、他の再生可能エネルギーのように天候に左右されないことに起因する。晴れないと発電ができない太陽光発電や、風がないと発電できないうえ構造的に風車の回転部分や風向きに合わせて方向を変える部分の故障が多発しがちな風力発電と比べて、地熱には熱源の探索が困難ながら、いったん開発に成功すれば地下の熱源から噴出する蒸気が安定しているという特色がみられるからである。

 ところが、そうした長所の割に、国内の地熱発電所は現在、18ヵ所と少ない。

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