ユーロ圏の危機は未だ終わったわけではない。本質的な問題は南欧諸国の財政悪化ではなく、諸国間の収支不均衡である


3月中旬まで続いたギリシャの債務削減交渉の結果、同国の対象債務を保有する83.5%の債権者は、ギリシャの提案に賛同した。それに基づき、ギリシャは集団行動条項(CAC=Collective Action Clauses)を執行し、残りの債権者に対しても同条件での債務削減プランを実行することになった。その結果、ギリシャは最悪の事態の発生を回避することができた。

ロンドン在住のクレジットアナリストは、「今回の合意は債権者の自発的な債権放棄によると言われているが、実質的にはユーロ圏諸国の支援をバックに、ギリシャが無理矢理に債権者を説き伏せた」と指摘していた。まさにその通りだろう。

ただ、今回の合意の意味は決して小さくない。仮にギリシャと債権者の間で合意ができず、EU等からのギリシャ支援が実現できない場合には、ギリシャは無秩序にデフォルトに陥り、ユーロ圏のみならず世界の金融市場に大きな混乱が生じていたことだろう。無秩序なデフォルトを回避したことによって、世界中の政策当局はほっと息をついている。

ユーロ圏が抱える問題の本質

ユーロ圏が抱える本源的な問題は、南欧諸国の財政悪化ではなく、むしろ諸国間の収支不均衡の問題だ。ユーロ圏で最も強い産業を持つのはドイツである。一方、国内の産業が相対的に弱いギリシャやポルトガルは、ドイツの優秀な製品を輸入することになる。そうすると、ドイツには貿易黒字が蓄積し、逆にギリシャやポルトガルには貿易赤字がたまる。

ギリシャは、その貿易赤字を何らかの方法で埋めなければならない。手っ取り早い方法として、ギリシャ政府が国債を発行して、その国債をドイツやフランスの金融機関に購入してもらう。つまり、ギリシャは貿易収支の赤字を、資本収支の黒字で補うことになる。
 

しかし、このプロセスには大きな問題がある。このプロセスを続けると、ギリシャには借金が溜り、最終的には、ギリシャが返済できないまでの国債残高を抱えることになる。まさに今回発生した危機的な状況の本源的な原因なのである。そうした本源的な原因を取り除くことをせず、財政赤字に苦しむ南欧諸国に財政赤字削減の目標を無理強いしても、またいつか今回と同様の問題が起きることは明らかだ。

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